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暗いところでも威力を発揮する防犯カメラとは?

  • 会社の処方箋
キービジュアル

2022年6月8日

あゆみさん

「先輩、この前の画質の話。おもしろかったですね~」

あやこさん

「ほんとね。あの話を聞いて、今ある古いカメラの入れ替えを社長に提案しようと思ってるの。今もまた情報を集めてるのよ」

あゆみさん

「そうなんですね!じゃあ、画質以外にどんなことを基準に選んだらいいのか、吉田さんに聞いてみましょう!」

キヤノンS&S 吉田さん

「呼んだ?任せてよ。2人は“照度”って知ってるかな?今回は、暗いところで鮮明な映像を撮影するために必要な“照度”について解説しよう」

前回はカメラの画質についてお話ししました。広い範囲をきれいに映すということ以外にも、防犯カメラは暗い場所・時間帯でも威力を発揮しなければなりません。防犯カメラの映像を確認してみたら、暗くて人物・事象が確認できなかった経験はありませんか?それは、その場所または環境にカメラの照度が合っていなかった可能性があります。
今回は、暗い場所・時間帯でもしっかりと撮影するのに必要な照度についてご紹介します。

照度とは?

照度とは、光に照らされている面の、明るさの程度のことで、lux(ルクス)を単位として表します。
数値が大きいほど明るく、小さいほど暗いことを意味し 0lux は完全な暗闇を指します。
明るさの目安として、1luxは1m離れたロウソクの光の明るさです。0.3luxは満月の光、0.01luxは三日月の月明かり、0.001luxは星明かりと言われています。
時々、物語の中で星明かりや月明かりの中を歩くといったシーンがあります。この星明かりは、普通の照度計(照度を測定する計器)では測定ができません。少なくとも人工的な明るさに慣れている私たちにとってはほとんど何も見えない状態で、目が慣れてきてようやく物の輪郭がおぼろげに見えてくる程度です。ちなみに、太陽の直射は100,000luxだそうです。

照度の説明。0.001lux(ルクス)は星明かり、0.01luxは三日月の月明かり、0.3luxは満月の光、1luxは1m離れたロウソクの光の明るさ、太陽の直射は100,000luxです。

照度が低いってどういうこと?

では、照度はカメラの選定にどう関わってくるのでしょうか?
最低被写体照度とは、カメラが被写体を映すために必要な最低限の照度(明るさ)のことを言います。防犯カメラがどの程度の暗さまで撮影ができるかは、この数値が参考値となります。
例えば、あるカメラの最低被写体照度が「デイモード(カラー)0.01lux」と表記されていた場合は、三日月の月明かりでもカラー撮影する力があるということです。また「ナイトモード(白黒)0.003lux」の場合は星明かりより少し明るい暗がりでも白黒撮影が可能であることを示しています。数値が低ければそれだけ暗いところに強い!ということになります。
ちなみに赤外線照射ができるカメラは0luxと記載されていたりします。外部の光は使用せずに、人の目には見えない「赤外線」を照射して撮影します。つまり撮影に際し、照度は一切必要なく完全な暗闇でも撮影することができます。

照度が低いと、何がいいの?見え方は?

低照度に注目する理由は、やはり犯罪は、夜間に発生しやすく警備に威力を発揮するからです。
カタログ等に表記されている最低被写体照度ですが、実は統一の基準・規格がなく、メーカーそれぞれの測定方法により算出されています。そのため同じ0.01lux表記でもメーカーによって見え方に違いがあります。やはり実際の画像(デモンストレーションなど)を見ていただくのが一番わかりやすいかもしれません。

もう一点、低照度が威力を発揮するのは薄暗い場所です。明るい場所での撮影は、照度を意識せずともきれいに映りますし、真っ暗であれば「赤外線」を利用することもできます。そのどちらでもない、照明を落としたムードのある店内のような“暗いけれど、ある程度の明るさがある”場所でも、低照度性能が生きてきます。

気になる見え方を確認してみましょう。下の写真はデイモード0.4lux(左)と、デイモード0.04lux(右)性能のカメラ画像の比較です。

カメラ画像の比較。左がVB-M42デイモード0.04luxで、右がVB-M50Bデイモード0.4lux。

この2つのカメラの照度は10倍の差があります。右のデイモード0.04luxの画像の方が明るく鮮明に見えませんか?同じ時間帯とは思えませんよね。

おまけ

このように暗いところで撮影できるという点においても、カメラは大きく進化しています。暗いところでの映像は、デモンストレーションなどで実際に目にすると、その明るさに驚かれると思います。
こんなエピソードがありました。ある会社の工場敷地内で夜間に盗難事件が発生し、警察の方が防犯カメラの映像を確認していました。すると「日中に起きた事件ではないですよね?」と一言。そのキヤノン製のカメラ映像があまりに明るく鮮明なので、困惑したのだそうです。この一言がお客さまの社長の耳に届き、ほかの工場にもキヤノン製のカメラを導入いただくことになりました。
長らくキヤノンシステムアンドサポートでカメラを担当している吉田としては、思わずニンマリとしてしまうエピソードです!

さて、“暗い”ところでの撮影に必要な能力を示すのが、最低被写体照度であることが伝わりましたでしょうか。
中には超が付く高感度カメラもあり、最低被写体照度0.0005lux以下というカメラもあります。
下の画像は海に浮かぶ1km先の舟を撮影したものです。右上の時間を見てください。驚くことに、夜中の2時59分に撮影された映像なのです。

海に浮かぶ1km先の船を撮影した超高感度カメラの画像。

このようなカメラは、地震・豪雨による河川の氾濫・森林火災または火山活動など自然災害のモニタリング、野生生物の生態観察や海洋研究など特殊用途に用いられており、過去にはテレビ番組で深海の撮影に活用されたこともありました。
このように、カメラの技術は進化し続けています。こうして飽くなき探求心で技術を追い求め続けることで世の中の役に立つとことができると考えています。そして、その技術が近い将来私たちの身近なところにも活用の幅を広げていくことにつながると信じています。

まとめ

防犯カメラの選定の際にはカタログ等に表記されている最低被写体照度が参考になります。駐車場や資材置き場・工場など夜間月明かり程度の明るさしかない場所に導入される場合には、0.05lux以下のカメラが求められます。
防犯の観点はもちろんですが、万一事件・事故が起きた場合に早期解決につなげるためにも、必要な性能を備えていること、そして撮影できる範囲・台数を選定しましょう。
加えて、車番管理システム、サイレンやパトライトと連動させることで犯罪抑止にもつながります。お客さまの目的に合わせたカメラおよび周辺機器の選定を行いますので、ぜひご相談ください。

あゆみさん

「カメラの進化、止まりませんね~!それに、他システムとの連携で犯罪抑止につながるならその方がいいですね」

あやこさん

「ほんとね!また勉強になったわ。うちも入れ替えたいのは屋外に設置する防犯カメラだから、最低被写体照度も確認して選ぶようにしましょう!」

あゆみさん

あゆみさん
とても好奇心旺盛で、ジャンルを問わず情報量は社内随一!勉強家な一面もあり、調べたことはちゃんとノートにまとめている。

あやこさん

あやこさん
あゆみさんと仲良しな先輩。しっかり者に思われているが、実はちょっぴり抜けているところも。気になったことはトコトン調べたいタイプ。

キヤノンS&S 吉田さん

キヤノンS&S 吉田さん
あゆみさんとあやこさんが頼りにしているキヤノンS&Sの担当窓口。ネットワークカメラに関することなら誰にも負けない知識と経験と情報を持つ。

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