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豊島区立池袋第一小学校校舎の思い出プロジェクト 実施事例

2020年3月に、豊島区立池袋第一小学校にて、「校舎の思い出プロジェクト」を実施しました。

豊島区立池袋第一小学校の先生方にお話を伺いました

小学校の歴史についてお聞かせください。

昭和11(1936)年に東京府東京市池袋第一尋常小学校として開校する。昭和16(1941)年、東京府東京市池袋国民学校となる。昭和20(1945)年4月の城北大空襲により校舎が全焼する。
昭和22(1947)年、東京都豊島区立池袋第一小学校となる。昭和23(1948)年に柏の葉をモチーフにした校章制定、昭和32(1957)年山田耕筰作曲の校歌制定。
平成4(1992)年にオーストラリアタスマニア州、平成7(1995)年にアメリカメリーランド州の小学校と交流が始まる。現在は平成25(2013)年より交流が始まったブルガリアソフィアの小学校との作品交流を毎年行うなど、国際理解教育に力を入れている。平成29(2017)年には、安全・安心な学校づくりが認められ、ISS(インターナショナルセーフスクール)の国際認証を取得する。令和2(2020)年4月より、新校舎改築工事により仮校舎へ移転する。

「校舎の思い出プロジェクト」を行うことになったきっかけについてお聞かせください。

令和2(2020)年より、本校の新校舎改築工事が始まることが決定し、併せて現在ある校舎(一番古い物で1962年竣工)の取り壊しも決定した。現在の校舎は50年以上もの間本校の児童に使われ、卒業生、在校生にとっては大変思い出深い校舎である。そこで、前校長小久保進氏が、2014年に同じ区内の池袋第三小学校が行った「校舎の思い出プロジェクト」の話を聞き、ぜひ、本校の子供たちや保護者、地域の方々にもこれまでお世話になった校舎に絵を描いたり写真を撮って残したりすることで、現校舎との最後の思い出を作り、取り壊される校舎との思い出をいつまでも残したいと考えた。

「校舎の思い出プロジェクト」のサポートプログラムはいかがでしたでしょうか。

夏から計画を立てて参りましたが、綿密な打ち合わせや適切な量の画材提供など大変助かりました。絵の具だけでなくクレヨンやペイントマーカーの提供もありそちらを使った絵の具以外でできる表現のアドバイスもあり、助かりました。また、思い出に残したい場所を素敵な写真として残せるよう子供たちの「目線」で撮影ができたこと、高価な一眼レフを扱う体験をさせてもらえた児童にとってとても貴重な体験となりました。(服部先生)

特に印象に残っているエピソードなどあれば教えてください。

本校では3段階に分けて作品作りを進めていきました。図工、クラス、縦割り班での取り組みでした。(他にも工作イラストクラブでの作品もありますが)12月に図工として校内の階段に手形でグラデーションの下塗りをして、その色からイメージできる動物や食べ物など自由にイメージしてプリントにアイデアスケッチをしてから、絵の具で思い切って本番いっぱつ描きでエイッと絵を描いたのですが、最初は描くことにドキドキしていた子供たちが「気持ちい~」「楽しいね」とお互いに楽しそうに会話をしながら、のびのび描く姿が指導する私もとても嬉しかったです。2月から学級会で学校の思い出を話し合ってクラス全員で描いた壁画作品、そちらは「新型コロナウイルス感染症」の影響で完成させることができなかったのですが最後の登校日までそれぞれのクラス全員が一丸となって取り組む姿がとても印象に残りました。図工の指導では早く終わった児童を中心に、「見て描く」という基礎力を継続して育んでいたので(6年生の)自然をテーマにしたリアリティのある絵には私が一番驚かされました。3月にはたてわり班でクレヨンで窓に絵を描く予定でしたがそちらは叶わず、先生方で仕上げをさせてもらいました。本校には70周年の時に誕生した「かしわくん」というキャラクターがいるのですが誕生してから15年経つ今でもとても愛されているキャラクターで、子供たちの作品の中にもたくさん描かれています。給食の放送で思い出プロジェクトクイズというのもあって、そこで「1年生が描いたかしわくんは何体いるでしょう」なんてクイズもあり大変盛り上がりました。

学校の壁という本来描いてはいけない場所に、初めて子供たちが描いていくときはどのような反応でしたか。

手形での下塗りでは、最初ドキドキしながら手形を押していた子供たちも「汚れてもいいの?本当に?」「全部やっていいの?」と色が塗り進むほどに大胆になっていく姿が見られました。他の学年が下塗りを終えた壁を他学年が見て「ぼくたちはいつできるの?」とワクワクの連鎖が起きていたので、下塗りの1週間は私含め、校長先生はじめ担任の先生方もワクワクしていました。(服部先生)

子供たちが撮影した写真(or 撮影しているところ)をご覧になって、いかがでしたか。

ピントの合わせ方がうまい!です。大人顔負けの写真もあり、子供の可能性は無限大だなと感じました。絵と人物と間の取り方も上手な子供がいて、空間認知などさまざまな感覚が育まれて面白いなと思いました。カメラ教室ではクラスで選ばれたという責任から真剣にお話を聞いて撮影の練習を頑張る姿も見られました。子供たちはいつでも全力で頑張っていました。きっとフォトブックも楽しみにしていると思います。(服部先生)

児童や保護者の皆さん、地域住民の方の反応はいかがでしたか。

子供たちは、とても喜んで取り組んでいた。最後の最後で「新型コロナウイルス感染症」の影響で完成させることができなかったのは本当に残念だった。また、保護者や地域の方々にも大変好評で、素晴らしい企画だと絶賛していた。(副校長先生)

12月から取り組んでいたので長い間自分の作品を見る時間があり、通過するたびに友達の絵を見たり自分の絵を紹介したりする鑑賞の時間も十分に取れたので、子供たちの感性を育めたことが嬉しかったです。身近にある作品に触れ合うことが一番の鑑賞活動だと感じました。保護者の皆様にも「素敵ですね」と声を掛けていただけることが多く、子供たちのやる気にもつながっていたと思います。毎日「汚れてもいい服装」で来てくださいという連絡に保護者の方も丁寧に対応してくださり大変助かりました。ありがとうございました。(服部先生)

今後、「校舎の思い出プロジェクト」を多くの小学校にて展開をしていきたいと考えております。このプロジェクトに今後期待することや、メッセージがございましたらお聞かせください。

このたびは、子供たちのために大変貴重な体験をさせていただきありがとうございました。始まる前は、本校は白い壁がとても多い校舎だったので、しっかりできるのかどうか不安な面があったが、実際に子供たちの活動が始まると、子供たちはとてもノリノリで、世界に一つしかないとても思い出に残る活動ができました。(副校長先生)

本校は今年で85周年を迎えました、2年の仮校舎での生活がありますが、この活動が子供たちにとってとても充実したものになったので気持ちに区切りを付けられると思います。この先100周年を迎えても変わりなく地域や保護者の皆様に愛される「イケイチ」でいて欲しいと思います。私自身も図工専科としてとてもよい経験をさせていただきました。今後の教育活動に生かして地域や学校に貢献していきたいと思います。(服部先生)

プロジェクト作品

大判プリント作品