「地元・沖縄に貢献したい」
自分を振り返って見いだした“働く意味”と、組織の成長にかける想い
2025年2月10日


生まれ育った沖縄を拠点に、首都圏の大手金融グループのシステム開発・保守・DXに関する開発などの大型プロジェクトを率いる人物がいる。
キヤノンマーケティングジャパンのグループ会社で、ニアショアと呼ばれるサービスを専業とするクオリサイトテクノロジーズ株式会社(以下、クオリサイトテクノロジーズ)の石川 俊だ。
入社時より「地元・沖縄の発展に貢献したい」「成長し続けたい」という強い想いを抱く石川は、どのようにその想いを形にしてきたのか。これまでの歩みとともに、情熱の源泉に迫る。
“首都圏品質”を強みとする「ニアショアダイレクトモデル」
人口や産業が首都圏に集中する「一極集中」が進む日本。地域の労働力減少や経済衰退は喫緊の課題となっている。その解決手段として注目を集めているのが、首都圏以外の国内地域のリソースを活用してビジネスを推進する「ニアショア」というビジネスモデルだ。
沖縄県名護市に本社を構えるクオリサイトテクノロジーズは、2003年の創業以来、地域から首都圏企業に高水準のITサービスを直接提供する「ニアショアダイレクトモデル」を展開する企業だ。「人とテクノロジーで地方の未来を拓く」というミッションのもと、沖縄のほか北海道にも拠点を広げ、システム開発、オペレーション、データセンターの三つのサービス提供を通じ、お客さまの課題解決、そして地方経済の発展と人財の成長に貢献することを目指している。

ニアショアを掲げるIT企業が他にもある中で、同社の強みは、首都圏の大手企業が求めるレベルの技術力をもってサービスを提供する、“首都圏品質”への徹底的なこだわりと、間に他のSIerを挟むことなく、首都圏企業からダイレクトに依頼を受け、一気通貫の対応を可能としていることだ。再委託を行わず、要件定義などの上流工程からプログラム構築などの下流工程、保守運用まで一貫して担うため、業界の専門知識と高い技術力を有し、地域経済に貢献できる人財が育つ環境となっている。
そんな人財を代表する一人が、石川だ。現在は大手金融グループのシステム開発・保守やDXに関する開発を担う部署を統括し、戦略策定やマネジメント、お客さまとの関係構築や課題の検討・提案に取り組む。
地元・沖縄に住みながら、首都圏企業の仕事を請け負うことで、成長できる
今でこそ高度な専門性と品質水準が求められる金融プロジェクトに精通している石川だが、「学生時代は文系で、プログラミングの知識・経験もゼロ。当時はIT業界に入ろうとは思っていませんでした」と振り返る。
沖縄出身の石川は「より成長できる環境で仕事がしたい」という想いから、東京で就職活動を開始。IT企業の説明会に参加したことがきっかけで、常に進化し続けるITの世界に興味を抱いたが、なかなか理想とする企業とマッチングできずに沖縄へ戻ることとなった。そこで偶然求人を見つけたのが、創業して間もないクオリサイトテクノロジーズだった。

「それまで、東京にいなければレベルの高い仕事ができないと思い込んでいました。クオリサイトテクノロジーズの存在を知り、慣れ親しんだ沖縄で暮らしながら首都圏の仕事ができるのかとワクワクしたのを覚えています」
入社を決意するもう一つの決め手となったのが、半年間の新人研修制度だ。入社後にしっかりとエンジニアに必要なスキルを学べることが、未経験だった石川の背中を押してくれた。
「ただ、研修はとても厳しかったです。首都圏の仕事を請け負うということは、お客さまから要求される技術水準がとても高いということ。それに、ライバルはいわゆる“大手SIer”ですから、スキルの高い方たちがたくさんいます。その中で活躍できるエンジニアを育てる研修でしたから、知識ゼロの私はとても苦労しました。でも、講師の方が業務外の時間を割いてまで向き合ってフォローしてくださり、それに助けられて、なんとか無事エンジニアとしてキャリアをスタートさせることができました」
上流工程を担うようになって気づいた、お客さまの真の課題を捉える姿勢
少しずつ経験を積み重ね、「エンジニアとして、ある程度成長できた」と手応えを感じたのは、入社から4年ほど経ったころ。東京に駐在し、東京と沖縄の開発部隊をつなぐ「ブリッジSE」と呼ばれる職を務めた時だ。

「それまでは、設計書通りにプログラムを作る役割でしたが、ブリッジSEではお客さまから逐一相談を受け、ビジネス課題に対してシステム開発の視点から解決策を検討・提案する上流工程を担うようになりました」
この時、システムを利用するお客さまと直接コミュニケーションを取る機会を得たことから、大きな学びがあったという。
「お客さまへのヒアリングを通して要件定義を行ったものの、実際には現場で使われていない機能があることが分かったんです。それは、本質的な要望を反映できていなかったということ。真の課題解決に導くためには、情報収集と密なコミュニケーションによって、お客さまも気づいていない真のニーズを掴むことが重要であると、改めて痛感しました」
その教訓は、コミュニケーションを何よりも大切にする、石川の仕事の姿勢を形作るものとなった。
ゼロからお客さまとの信頼関係を築き、社内で最大規模の案件へと発展
約3年間務めたブリッジSEの役割を終えて沖縄に戻ってきた際、石川のキャリアに一つの転機が訪れた。現在まで続く、大手金融グループのシステム開発・保守案件に加わることになったのだ。クオリサイトテクノロジーズにとって金融業界の上流工程を請け負う初の案件で、会社としても大きなチャレンジだった。
「当時、金融業界が求める品質水準や開発プロセスへの知見・ノウハウが、当社にはまだ十分に蓄積されていませんでした。そのため、さまざまなトラブルが生じていた中での参加でした」
マネジメントを担うことになった石川は、20~30名規模のメンバーの管理や人員配分、お客さまとのコミュニケーション、関係者のフォローなどに奔走した。

「遅延とトラブルが続く中、とにかくプロジェクトを遂行しようと必死でした。かなり辛い期間でしたが、これを乗り越えないと自分たちは次のステージに行けないと考えていました」
石川は2年にわたって尽力し、なんとかプロジェクトをゴールさせた。厳しい経験だったが、これを会社の次の成長につなげなければと考え、自分たちの課題と今後やるべきことを洗い出すアクションも起こした。
「お客さまに『私たちの“ダメなところ”』を徹底的に伺いました。技術力はあっても、お客さまが求める開発・マネジメントの標準に準拠していないこと、品質に対する意識不足などを詳細にご指摘いただいた上で、それらの点を改善し、以降は必ず準拠した開発を行うことをお客さまに宣言しました」
その振り返りと宣言に対し、お客さまも『今後も御社に任せたい』と協力いただき、数日間の研修を沖縄で実施してくれたという。これを境に、品質もどんどん高まっていった。
そうして着実に実績と信頼を積み重ねた石川たちは、お客さまの別部署の案件も担当することになった。以降、クオリサイトテクノロジーズがお客さまから任される開発・保守の範囲は段々と拡大し、現在まで続く大型案件へと発展している。
人生の大きな転機となった、会社のミッションに心から共感した瞬間
試行錯誤しつつも順調にキャリアを重ねてきたように見える石川だが、先述の案件が拡大していく中で、今後のキャリアについて悩む時期があった。
「達成感を得たことで、もうシステム開発はやり切ったんじゃないか、という心境になったんです。一方で、エンジニアとして成長するためにずっと走り続けてきたので、その時打診されていた管理職を、単なるステップとして請け負うことにも違和感がありました。自分がどこへ進みたいのか分からなかったんです」

気持ちが晴れない中、一度自分を見つめ直してみたという。
「自分は何のために働いているのか、仕事を通じて何を成し遂げたいのか、なぜこの業界で働いているのか。そういったところを書き出して自分なりに分析しました。そこで出てきたのは『地元・沖縄に貢献したい』『誰もチャレンジしたことがないことに取り組んで、未来を創造したい』という想いでした。自分でも驚いたのですが、それってクオリサイトテクノロジーズのミッションとピッタリと一致していたんです」
「人とテクノロジーで地方の未来を拓く」というミッション、首都圏企業に直接ITサービスを提供し、高レベルな人財を育てることで地域の真の成長を支える「ニアショアダイレクトモデル」の構築など、会社が目指す姿に改めて共感を覚えたという石川。これが、人生の大きな転機だったと話す。
「仕事への向き合い方がガラッと変わりました。それまでは自分自身の成長ばかり追い求めていたのですが、仲間の成長の方が大切だと思えるようになったんです。なぜなら、自分一人ではミッションを達成することはできないから。ミッションに共感する仲間を増やし、育てていくことがこの会社を成長させることだと考えた時、管理職という役割が自分の中でしっくりと受け入れられました」
組織として成長し続け、お客さま、そして地域・社会に、より貢献できる存在となりたい
現在は、社員が成長できる環境を整えていくこと、社員の成長を実感することに、大きな喜びと達成感があるという石川。部長として三つの課のマネジメントを行いつつ、七つのプロジェクトのリーダーに対するメンターも担う。さらに、月一回以上は担当するお客さまを訪問するなど、多忙な日々を過ごしている。
「やはり、レベルの高い仕事を広げていくことが、自分たちを成長させ、地方の未来を拓くことにつながると思っています。お客さまから直接仕事を請け、自分たちで開発から保守運用まで一貫して担うことから、責任感・当事者意識が生まれ、主体的に成長し行動できる人財が育つ。その結果として成果を上げ、お客さまの信頼を得て、よりレベルの高い仕事を受けられる。その循環は地域の人を育て、地域の経済に貢献することにつながります」
さらに、石川が見据える成長の伸び代は大きい。
「お客さまのビジネス規模を考えると、われわれが貢献できているのは全体の数%に過ぎません。まだまだ価値を提供できる可能性がたくさんあります。採用を強化して体制もより大きくし、現状に満足せずに、お客さまへの貢献度をもっと高めていきたいと考えています」
成長し続けたいという想いは、個人でも組織でも変わらない。お客さまに、そして地域・社会に、より貢献できる存在となれるよう、石川は日々歩みを進めていく。

本記事に関するアンケートにご協力ください。
2分以内で終了します。(目安)