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【3分でわかるローコード開発】
最近よく聞く「ローコード開発」って何?いま注目のローコード開発について分かりやすく解説

2024年2月22日

いま知っておきたいテーマやトピックスについて、専門家が分かりやすく解説する“3分でわかる”シリーズ。今回のテーマは「ローコード開発」。開発手法の一つですが、DXの文脈で使われることも多く、開発者でなくとも知っておきたい用語です。

「ローコード(low-code)という言葉が示すように、コード(code)を書く作業が少ない(low)開発手法で、開発のスピードアップが期待できます」と語るのは、キヤノンITソリューションズ(以下、キヤノンITS)で、この分野に15年ほど携わってきた宮崎 陽子。

ローコード開発とは? なぜいま注目されているのか? 合わせてよく聞くノーコード開発との違いは? など、宮崎が解説します。

教えてくれた人
キヤノンITソリューションズ デジタルビジネス営業本部 宮崎 陽子

コードを書く「スクラッチ」、コードを書かない「ノーコード」のいいとこ取り

まずは、「ローコード開発とは何か?」からご説明しましょう。

皆さんが業務やプライベートで使っているソフトウエアやアプリケーション。それを動かすためのプログラムが書かれたデータを「コード」といいます。

プログラム言語を使って一からコードを書き上げる手法が「スクラッチ開発」といわれます。オーダーメイドで開発を進めるイメージで、個々の要望や特殊な処理であっても実現できます。もちろん、開発の際には高度なプログラミングスキルが必須となります。

この反対に、コードを書かない手法が「ノーコード開発」といわれるもので、開発ツールに用意されている部品を使ってプログラムを組み上げます。そのため、部品として提供されていない処理は組み込めず、特殊なプログラムは組みにくくなります。ただし、コードを書く必要がないため、プログラミングスキルが必須となりません。

そして、スクラッチとノーコードの中間に位置するのが、「ローコード開発」です。ノーコード同様、開発ツールに用意されている部品を組み合わせてプログラムを組み上げますが、用意されていない処理はコードを書いて対応します。ある程度のプログラミングスキルは必要ですが、スクラッチと比べるとコストや時間、労力がかからず、ノーコードと比べるとできることの制限が少ない、というイメージですね。

ローコード開発の第2次ブーム、その背景にあるのはDX

今、なぜローコード開発が注目されているのか、歴史を振り返りながらみてみましょう。

実は、ローコード開発自体は新しいものではありません。キヤノンITSでも、2005年よりローコード開発ツールであるオンプレミス型の「WebPerformer」を提供しています。リーマンショック後の2009年頃から、多くの企業でなるべくコストや時間を削減するため、開発を内製化しようという動きがあり、それとともにWebPerformerの利用も増えました。

  • オンプレミス型:自社内にサーバーを置いてシステムを構築し、運用も自社で行う形態

これらの時期を第1次ブームとするならば、再び注目されているいまは、第2次ブームといえます。そして、この第2次ブームをもたらしているのは、DXの加速や日本企業が抱える「2025年の崖」といわれるものです。

「2025年の崖」の大きな要因の一つが、IT人材の不足です。その一方で、DXは待ったなしの状況。さらに、DXを迅速に進めるために、実装とテストを短期間で繰り返しながら進めるアジャイル開発の重要性も高まっています。

このような状況やニーズを踏まえると、スクラッチでは開発が回らない企業は少なくありません。ローコードは開発の生産性を高め、状況を打破し、ニーズに応じることができるのです。

現場とIT部門の共創ができるローコード開発

スクラッチ・ローコード・ノーコード、それぞれに得手不得手があるため、得意分野も異なります。では、ローコードはどのような開発に適しているのでしょうか?

ローコード開発が適しているのは、ある程度の機能要求や柔軟性が求められる、企業や部門をまたぐ業務プロセスや取引のデジタル化。また、開発ツール側に部品が用意されていて、かつオリジナルの処理も組み込みたい、例えば、外部サービスとの連携や既存バッチ処理をそのまま使うことなどが挙げられます。

さらに、ローコード開発にはもう一つ、魅力的な特長があります。

最終的にアプリケーションやサービスを使うのは現場やお客さまです。ローコード開発の場合、画面などのインターフェースは現場がつくり、裏側で動く処理工程はIT部門がつくるという「共創型」の開発が可能になります。現場とIT部門が上手くコラボレーションすることで、両者にWin-Winのシステムを短期間でつくることができるのです。

ローコード?ノーコード?迷ったら……

近年、「スクラッチ開発だとコストと時間がかかる。だから、ローコードかノーコードでの開発を検討している」という企業が増えてきました。この場合、「システムに業務を合わせることができるならノーコード開発、業務にシステムを合わせたいのであればローコード開発」というのが大きな選択基準になるでしょう。

ノーコード開発の場合、先述の通り、必ずしもプログラミングスキルを必要とせず、現場で簡単にシステム開発できるといった魅力があります。業務をシステムに合わせられる場合は、メリットのある開発手法でしょう。その反面、基本的には、ツール側に用意されている機能で構築するため、複雑な処理や企業独自の要求に応えることが難しくなります。

一方、ローコード開発の場合、ある程度のプログラミングスキルが必要になります。ただし、ツール側に用意されているコードに加えて、自分たちで書いたコードも組み合わせてプログラムを組み上げられる柔軟性があるため、業務に寄り添った開発ができます。現場部門との共創によって使い勝手の良いシステムをつくりたいというケースにはぴったりです。

このように、ノーコード開発とローコード開発には、それぞれ得手不得手があり、さまざまな開発ツールがリリースされています。まずはどのような開発要求があるかを見極め、状況によって適切な手段を選択しましょう。

ローコードを活用した“守り”と“攻め”のDX

キヤノンITSでは、1980年代からCOBOLのプログラミングを簡単にするツール「CANO-AID」を提供していました。そのため、開発ツールの分野において、長年培ってきた豊富な知見・経験・技術があり、お客さまの課題に応じて開発現場を強力に支えることができます。

  • COBOL:1959年に開発された、基幹システムで使われることが多いプログラム言語

2023年11月現在、先述のWebPerformerの導入企業は約1400社にのぼり、加えて、2023年1月にはクラウド型の「WebPerformer-NX」もリリース。WebPerformer-NXは、実行環境などすべてがクラウドに用意されているため、開発のための環境準備に手間を取られることなく、すぐに開発に取り掛かかることができます。

「WebPerformer」が得意とする“守り”のDX

  • 基幹システムの再構築をしたい
  • 自社のサーバー環境を活用したい
  • 開発に際して手厚いサポートを受けたい

「WebPerformer-NX」が得意とする“攻め”のDX

  • DX推進の第一歩として新たにシステムを構築したいが、セキュリティなどに不安がある
  • ビジネスの変化に応じて素早い構築が求められるフロント側のアプリケーションをつくりたい
  • つくったアプリケーションを社内外に共有して広く使いたい

このように、課題や要望に応じて選択できる開発手法の幅が広がりました。キヤノンITSは、これからもローコード開発を通じて、お客さまのDXを支えていきます。

キヤノンITSが提供するローコード開発プラットフォームはこちら


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