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ソリューション営業は「ひとりではできない」だから「みんなでやる」
チーム力を最大化する等身大のコミュニケーション

2024年3月21日

情熱の源泉

いま、多くの企業が社会課題やビジネス環境の変化に合わせた事業変革に取り組んでいる。キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)は、独自のソリューションと「人の力」を強みとして、さまざまな企業の課題やニーズに寄り添い、事業変革を支援してきた。

本稿では、大手企業にソリューションを提供する「MA事業部」の「営業担当者」にフォーカス。同部 製造第一営業本部の小川 祐子は、製造業などの企業に対しハードウエアだけでなくソフトウエアやツールも組み合せ、顧客に多様なソリューションを提案している。15年のキャリアから、営業として常に意識していることは、「対話により課題の核を引き出すこと」と「解決までのストーリーの組み立て」、そして何より「部門や担当業務を超えた連携」だと語る同氏の“情熱の源泉”に迫った。

「対話」と「ストーリー提案」で大手企業の課題と向き合うソリューション提案

キヤノンマーケティングジャパン MA事業部 製造第一営業本部 小川 祐子

「私が大切にしているのは、お客さま、そして社内の仲間と対話を重ねることです。いろいろな人とコミュニケーションを取りながら、一緒に課題を解決できたときが何よりもうれしい瞬間ですね」

対話が何よりも大切と語るのは、キヤノンMJのMA 事業部 製造第一営業本部に所属する小川だ。

「MA事業部」は大手企業のビジネス支援に特化した部門。「MA」は「メジャーアカウント」の略で、製造業や金融業などさまざまな分野の企業と数多くの接点を持つ。その中の製造第一営業本部に所属する小川は2008年入社以来、飲料・食品系の大手メーカー複数社を担当してきた。取り扱う商材は複合機やプリンターなどのハードウエアにとどまらない。営業活動のCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)※1構築、小売・飲食店のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)※2支援、工場業務のDX化など、ソフトウエアやツールも組み合せながら、顧客の課題解決につながるITソリューションをカタチにして提供していく。

「お客さまが困っていること、求めていることに対してソリューションを提案するのが営業の仕事です。ある程度決まった商材はあるものの、それだけでは解決できない場合は、自社だけでなく外部のツールを探し出して提案するなど柔軟に対応しています」

顧客である大手企業はグループ会社も含めて膨大な数の部門やチームが存在する。同じ顧客企業であっても拠点や部門、チームごとに抱えている課題が異なるため、できる限り多くの担当者と接点を持ち、キヤノンMJグループとして支援できることは何か、対話によりその可能性を探り続けることが重要となる。

例えば、既存顧客からの紹介を受け、同企業内のほかの部門の課題解決を検討するケースでは、該当部門の担当者にヒアリングを行い、そこからニーズや顕在化していない本質的な課題を引き出す。その際、一度のヒアリングで課題の核が見えてくることは少ない。それが見えるまで、密な対話を繰り返す。その上で、商材を知り尽くしたソリューションスペシャリスト(以下、SS)※3や、技術面を支える製品担当者や商品企画担当者などとチームを組み、ソリューションを設計して提案書に落とし込んでいく。その際にも丁寧な対話を心掛けている。さらに受注後も窓口として顧客と相対し、継続的にプロジェクトを推進する役割を担う。

「一人で完結する仕事ではないので、社内での密な連携が欠かせません。アイデア提案、リソース調整、資料作成、見積作成など、さまざまなメンバーに協力を仰ぎながらプロジェクトを前に進めています」

プロジェクトを推進する上でのポイントは、まずは「聴くこと」、そして「ストーリーを組み立てること」だと小川はいう。

「お客さまの要望を100%そのまま実現しようとすると、例えばシステムなども個別開発しなければならず、コストが膨大になってしまうケースがよくあります。だからこそ、やはり聴くことを第一として、密な対話を通してコアとなる課題を引き出しつつ、実現ハードルの高低やコストを整理した上で、絶対に外せないものや優先順位を決めていく。“現在の課題を出発点として、かけられるコストはこれくらい、であればいつ頃までにゴールはこうなる”という“ストーリー”を組み立て、それをお客さまとしっかりと共有することを意識しています。

『このソリューションでこれだけの効果が期待できます』とだけ伝えるよりも、ストーリーでお話しした方がお客さまの納得感がありますし、ストーリーを明確にすることで、途中で良くない方向に行きかけても軌道修正がしやすくもなります」

  • ※1
    顧客の情報を管理・分析して、良好な関係を構築または維持するためのマーケティング手法。「顧客関係管理」と訳される
  • ※2
    特定の業務の企画・設計から実施までを、外部の専門業者に一括して委託すること
  • ※3
    法人のお客さまに対し、営業と一体となって、お客さまの課題解決につながるITソリューションを軸とした企画立案に携わるポジションを指す

「固執し過ぎない、でもたくさん動く」営業スタイル

入社以来、15年にわたって営業に携わってきた小川は、自身の仕事のスタイルを「無理をしないこと」だと語る。

「誤解を恐れずにいえば、“一つの課題やお客さまに固執し過ぎない”ようにしています。商材を売りたいがために無理やり提案をするのは論外ですし、無理筋な課題に時間をかけすぎてしまうのもお客さまのためになりません。できないことがあるなら、なるべく早く“これはできません”と伝えたほうが親切です。正面からだけでなく、別のルートから次善策が考えられそうであれば、柔軟に切り替えていくことも大切だと考えています。一つの企業の中にもさまざまな部門のお客さまがいらっしゃいますから、自分たちがより貢献できる課題を抱えているお客さまと少しでも多く出会えるように動き続けることが大事なんです」

この言葉が示すように、小川は顧客へのコンタクトや商談、見積作成、ソリューション提案といった「活動量」を営業の重要指標として捉えている。一般的に営業の評価は受注数や売り上げなどの成果に重きが置かれがちだが、「こんなことをいうと怒られるかもしれませんが、売り上げはそこまで気にしていないんです(笑)」と小川は述べる。

「やはり、何よりもお客さまのお悩みやニーズを知ることが大切なので、できるだけたくさんコンタクトを取って、コミュニケーションを重ねることを心掛けています。目先の利益にとらわれるのではなく、課題と向き合いながら、本当に必要とされるソリューションを、ベストなタイミングで提供したい。そこに真摯に取り組んでいれば、結果は後から付いてくるものかなと」

「常にメンバーの顔が浮かぶように」社内メンバーに支えられてこそ成り立つ仕事

先述したように、ソリューション営業は、社内のさまざまな担当者と部門や業務をまたいで連携を取ることが欠かせない仕事だ。小川はどのようにして、周囲と協力し合える関係を築いていったのだろうか。

「若手の頃は当然知り合いも少ないですし、遠慮気味で要領を得ない依頼の仕方をしていたこともあって社内でも後回しにされがちで(笑)、思い悩むこともありました。それでも手を差し伸べてくれる人やお話を聞いてくださるお客さまもいらっしゃったので、そういった方々の力を借りながら、少しずつ受注実績を積み重ねていくことで関係を築いていきました。経験を積むと社内への依頼も勘所が分かってくるので『あいつの話は聞いてやろう』ってなるんですよね(笑)。また、残念ながら失注してしまったときは、案件チームのメンバーに素直に“ごめんなさい”と謝る。それだけでなく、お客さまに理由をお聞きした上で、包み隠さず社内に共有することを心掛けてきました」

こうして社内のさまざまな担当者とコミュニケーションを取り、地道に信頼関係を築いていった結果、ネットワークが大きく広がったことはもちろん、自身のアンテナの感度も高まったようだ。

「お客さまと話しているときに、“あの人が協力してくれたら具体的に進みそうだな”と考えたり、お客さまから出てきたキーワードをヒントに“もしかしたらあのツールが使えるかも。SSに聞いてみよう”となったりするなど、お客さまとの会話中に社内のたくさんのメンバーの顔が浮かぶようになりました」

営業一人では解決できないお客さまの課題も、頼れる仲間たちとチームで取り組むことで解決に導くことができる。それを何度も経験しているからこそ、小川は常に「感謝の気持ち」を忘れない。

「私は数字に強いわけでもなく、資料作りも上手ではないので、営業が担当する領域の仕事でも自分が苦手なことは得意な人にお願いすることもあります(笑)。本当にいろいろな人に支えられながら仕事をしていますね。忙しい日々の中でつい自分が主語になってしまうこともありますが、周りの人への感謝の気持ちを忘れずにいたいと思っています」

やっぱりコミュニケーション!関係構築だけでなく、自分にとっても必要な “情熱の源泉”

そんな小川が大きな達成感を覚えたという仕事の一つが、とある企業の工場に対するソリューション提案だ。顧客の要望は、工場設備の修繕・改修・新築に必要な申請書類やドキュメントを電子化し、工事委託業者への発注までを一気通貫で実現する仕組みをつくること。しかし、既存のパッケージ化されたツール単体では部分的な提案しかできず、要望を実現しようとするとコストが膨らんでしまうという壁に直面する。

そこで、社内メンバーの知見も借りながらほかの手段を模索し、二つのツールを組み合せる方法にたどり着く。さらに、工場の従業員に現場のニーズを直接ヒアリングすることで、顧客の課題によりフィットするソリューションを提案できたそうだ。受注が決まったとき、プロジェクト開始から約2年が経過していた。長い道のりだったからこそ、社内はもちろん、顧客側の担当者も一体となって達成感を分かち合うことができたという。

「長期間にわたって協力してもらったプロジェクトだったので、受注が決まって社内のメンバーも一緒に喜んでくれたときは本当にうれしかったですね。失注しなくてよかった……というホッとした気持ちも大きかったですが(笑)。取引先企業の担当者の方も導入に向けて尽力してくださったので、“やっと本稼働ができましたね”と喜んでいただけました」

社内外の人たちと常に対話を重ね良い関係を築きながら、しなやかに、自分らしく、営業の仕事に取り組んでいる小川。これからチャレンジしたいことや目指す未来像を、このように語る。

「とにかく営業!みたいな強いこだわりがあるわけではないのですが、人とコミュニケーションを取りながら仕事を進めるスタイルが、やっぱり自分には合っているのかなって思います。一時期、バックオフィスの仕事に関わったこともあるのですが、一日中デスクに向かって仕事をするのは苦手かも……(笑)。

最近、会社のメンター/メンティー制度に応募して別の部門の入社1年目の社員と定期的に面談しているのですが、新鮮で学びが多く、こういう部門や世代を超えたコミュニケーションも楽しいなって思います。営業としてもいろいろな人と関わりながら動き続けることを評価してもらえていると思うので、その期待に応えられるように頑張りたいです」

  • 所属部門の直属の上司とは別に、先輩社員などが新入社員から相談を受けたりサポートをしたりする制度
「日々仕事をしていく上で大事にしている考え方を“一言”で教えてください」との問いに、「やっぱりこれですかね(笑)」と笑顔で答える小川

二児を育てながら、フルタイム勤務で仕事と家庭を両立

入社後、二度の産休・育休を経験。一度目の育休明けは時短勤務をしていたが、二度目はコロナ禍で在宅ワークが浸透したこともあり、育休明けからフルタイム勤務で仕事と家庭を両立している。

「部内には私以外にも育休明けで営業に戻る方もいますし、子どもが熱を出したときなど、困ったことがあれば上司や同僚がフォローしてくれます。恵まれた環境だなと思いますね。営業の仕事は比較的、自分でスケジュールをコントロールしやすいことも助かっています。夫が在宅ワークできる日にお客さまとのアポの予定を入れたり、どうしても忙しいときは夫の実家を頼ったりなどして、時間のやりくりをしています。一日が過ぎるのが本当にあっという間(笑)。でも、充実した日々を過ごせています」