ONE TEAMで課題解決に挑む。地域に根ざすソリューションスペシャリストが身に付けたマインドとスキル
2024年9月20日
キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)の「ソリューションスペシャリスト(以下、SS)」は、お客さまの課題解決に向け、ITソリューションを軸とした企画立案などを行う重要な役割を担っている。特定の業界のお客さまを専任する者、さまざまな業界のお客さまに伴走する者など、その担当の仕方は多岐にわたる。
エリアビジネスユニット
ソリューション事業推進本部の山田 賢人は、中小企業を対象に、担当する地域の顧客に対して、パートナー企業やキヤノンMJの営業担当者と連携し、課題解決に取り組むSSだ。地域に根ざすSSの仕事のやりがいや難しさはどこにあるのだろうか。そして、キヤノンMJだからこそ提供できる価値とはどういったものなのか。入社以来、この仕事一筋にまい進してきた山田の“情熱の源泉”を追う。
パートナー企業・営業担当者とタッグを組み、チームでお客さまの課題解決を目指す
山田の所属するエリアビジネスユニットは、全国の中小企業に対して、各地のパートナー企業と共に、課題解決のためのさまざまなソリューションを提供している部門だ。まず、地域に深いネットワークを持つパートナー企業とキヤノンMJの営業担当者が、密に連携を図りながら顧客が抱える本質的な課題やニーズを引き出す。そして、課題解決の実現に向けストーリーを組み立てソリューション提案へと動いていく中で、ITや業界動向などの幅広い知識を生かし、最適な提案になるよう支援を行うのが、山田たちSSだ。
「私たちSSは、パートナー企業と営業の3者でタッグを組み、各地のさまざまな業種・業態のお客さまに対し、経営や業務の課題解決のための幅広いソリューションを提供しています。
パートナー企業に対して、製品やサービスの説明を行ったり提案内容の相談に乗ったりするなど、総合的なセールス支援や関係構築を行うのが営業担当者の役割で、SSは、実際にソリューション提案の案件が発生した際に、技術的な側面から提案を支援します。例えば、業務プロセス改革を目的としたデジタル化やデータの利活用など、システムに関わるソリューションの場合、お客さまの課題抽出はもちろん、業務内容やシステム環境の調査、テクノロジーやサービスの選定、デモ・検証・導入支援などが必要です。それらを担いつつ、多くの関係者が同じ認識を持ってプロジェクトを進められるよう、資料作成や提案を行っていくのがSSの仕事です」
こうした役割を担うため、急速に進化し続けるテクノロジーへの深い知識が求められる。また、山田のように地域を担当するSSは、さまざまな業種・業務内容のお客さまを担当するため、その内容理解や、幅広い視野でソリューションを発想する姿勢が必要だ。お客さまの課題によっては、自社製品に限定せず、最適なツールやサービスを提案することもある。
「分かったふり」をしない。経験を重ねていく中で身に付けた姿勢
では、そうした幅広い知識やスキルを、山田はどのようにして身に付けてきたのだろうか。山田は2015年にキヤノンMJに入社し、研修を経た後、エリアビジネスユニットで一貫してSSとして、首都圏(東京)、中部(名古屋)、西日本(福岡)のエリアをそれぞれ約2年半ずつ担当。さまざまなお客さまの課題解決に尽力してきた。
「東京にいた最初の数年間は、無意識に先輩を頼ってしまい、仕事をやり遂げた実感があまり得られないでいました。少しずつ変化を感じられるようになったのは、名古屋に転勤してからです。当時、中部エリアは数名のメンバーで7県のお客さまを支援していたので、若手であっても自らが主体となって商談や提案を行う必要がありました」
失敗も多かったが、先輩からの助言も成長を後押ししてくれた。
「初めは、知識のない若手だと思われたくなくて、つい“分かってる感”を出してしまうことがありました。でも、あるとき先輩が『製品・サービスを知らないのは勉強不足。でも、お客さまの業務を初めから深く理解することは、誰でも難しい。実直に学んでいくことで、より良い提案ができるようになるし、それが自分のノウハウとなっていく。決して分かったふりをせずに、知らないことこそ積極的に聞いていこう』と諭してくれて。そこからは、少しでも理解が足りないと感じたら積極的に伺ったり、自分なりに調べたことを資料にまとめ、プロジェクトに関わる方たちと認識合わせをしたりと、より正直に不明点を明確化していくことを心掛けるようになりました」
そうして、少しずつノウハウを蓄積していき、経験した商談の数が100件を超えたあたりから、業種や業務内容ごとのニーズの傾向などが見えてきたという。回を重ねるごとに良い提案ができるようになり、導入後、お客さまに喜んでいただけることも増えた。
「特に印象に残っているのは、入社6年目ごろの経験です。パートナー企業が『これから新たに取引をしていきたい』と考えていた、全国に拠点のある新規のお客さまへご提案する大型プロジェクトでした。お客さまの現場を直接見せていただく機会があったのですが、管理を要する注文書や発注書などの紙の量が膨大で、倉庫を借りてスペースを確保されているような状態でした。過去に、似た状況にある企業さまへのソリューション導入を担当したことがあり、自分の経験がお客さまの状況改善のお役に立てると感じたんです。そこで『ぜひ、自分にソリューションのご提案をさせてください』とお伝えし、複合機を活用した受発注管理のデジタル化をご提案する機会を頂戴しました。結果、採用となり、運用開始後には大きく業務効率化を果たすことができました。プロセス変革やコスト削減にもつながる成果に大変ご満足いただき、全国の他の拠点にも導入していただくことになりました」
お客さまからうれしい言葉をいただいたのはもちろん、継続的な取引のきっかけとなる成功事例をつくることができ、パートナー企業にも非常に喜ばれたという。
「信頼関係を深めるきっかけをつくれたことはもちろん、他企業さまにも展開できる良い事例として、パートナー企業の競争力強化に貢献することができたのは、大きな自信となりました」
SSに必要なのは、「みんなの幸せを考えて動く」マインドと「提案力」
こうしてキャリアを重ねていく中で、SSに欠かせない二つの要素を自覚するようになったと山田は話す。
一つ目は、「みんなの幸せを考えて動く」マインドだ。
「ソリューションの提供を通じてお客さまの課題解決を目指すことが、SSの仕事です。ただ、キヤノンMJとお客さまとをつないでくださるパートナー企業、そしてSSに声をかけてくれる社内の営業担当者、彼らの存在がなければ、この仕事は成立しません。お客さまの課題を共に解決するチームとして、まずは彼らに信頼されることが大切です。お客さまの課題解決を第一に据え、パートナー企業も営業も含めてWin-Win-Winになる関係を目指す。軽い言葉に聞こえるかもしれませんが、 “みんなの幸せを実現する”こと。これが、SSの仕事の難しさであり、やりがいでもあると思っています」
そして、二つ目は「提案力」を常に向上させることだ。
「私たちがご提案させていただくお客さまは、情報システム部の方の場合もあれば、役員や経営者の場合もあります。当然、相手の方によって響くポイントは異なり、前者の場合はITの仕組みの詳細や業務効率化をご説明することが納得感につながりますし、後者の場合は、経営視点で企業全体においてどういったメリットがあるかをお伝えする方が高いご満足につながります」
一律的なプレゼンテーションを行うのではなく、それぞれのケースに応じて最適な提案内容を考える。さらに、さまざまな立場の方がプロジェクトに参加するため、認識がずれないように共有事項の資料化・見える化を徹底しているという。
また、しっかりと相手に伝わる話し方ができるよう、プレゼンテーションの練習も重ねた。
「実は、以前は人前で話すことが苦手で、提案にも苦手意識があったんです。それを克服するために、スマートフォンやオンライン会議ツールで自分のプレゼンテーションの練習を録画し、話し方や間合い、声の抑揚を何度もチェックしながら改善を重ねていきました」
地道な努力が実を結び、現在は社内外から提案力に定評を得ている。お客さまへの導入実績向上はもちろん、社内で年に一度開催されるSSの提案力を競うコンテストでは、50名近くが参加する中、見事二連覇を達成する快挙を成し遂げた。
「提案力は、私たちSSにとって、関係する方々から信頼を得る“鍵”になるものだと考えています。例えば、初めてご一緒するパートナー企業は、私たちSSのことを『大事なお客さまに満足いただけるソリューションを共に提案してくれる人なのか』などと心配されているはずです。その際に、しっかりと提案する姿を見ていただくことが、信頼関係の構築につながります」
SSという存在は、キヤノンMJ“ならでは”の価値の一つ
2024年からは、首都圏エリアで東京のお客さまを担当している山田。最先端のテクノロジーを活用した提案が求められるケースも多いため、新たな知識やスキルの取得に向けて研鑽を続けているという。
「広範なIT知識を持ち、お客さまを深く理解し、技術的な視点から課題の抽出や最適なソリューションの提案を行う。そんなSSのような職種が存在する企業は、業界でも珍しいと言われることがあります。SSの存在は、キヤノンMJだからこそ提供できる価値の一つではないでしょうか。
SSは、『関係者みんなの幸せを実現する』という仕事の難しさがあるからこそ、それを実現できたときの喜びもまたひとしおです。パートナー企業や営業担当者とONE TEAMで課題解決に取り組み、お客さまにご満足いただけたときの達成感をみんなで分かち合う。その喜びとやりがいが、SSという仕事に情熱をささげ続けられる理由だと思います」
地域に根差すSSとして、お客さまに寄り添い、キヤノンMJ“ならでは”の強みを生かしたソリューションの実現を追求していきたいと語る山田。お客さまの真の課題解決に向け、これからも山田の挑戦は続く。