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「お客さまの課題は、自分自身の課題」
映像ソリューションのエキスパートエンジニアが 、顧客の期待を超え続けようとするワケ

2024年12月20日

情熱の源泉

キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)グループのキヤノンシステムアンドサポート(以下、キヤノンS&S)の北陸エリアで、エキスパートエンジニアとして地域企業の課題解決に情熱を注ぐ徳市 吉晃。

ネットワークカメラや映像解析技術などを活用した映像ソリューション分野のプロフェッショナルである彼は、単なる機器導入にとどまらず、顧客さえも気付けていない「本当に解決すべきこと」を見つけ出し、提案から施工、保守運用まで一気通貫で対応し、DX推進をサポートしている。

期待を超えるソリューション提案で顧客から厚い信頼を集める徳市。そんな彼が大切にする“お客さまの課題は自分自身の課題”というスタンスが培われたエピソードに触れながら、仕事に対する“情熱の源泉”に迫る。

ネットワークカメラを中心に、地域企業のあらゆる課題解決に奔走

キヤノンS&Sは、ITの専門的な知識と技術、そしてグループ企業やアライアンスパートナーの製品・サービスを掛け合わせることで、地域の中小企業に対してITの投資計画策定から選定、導入、運用、保守、教育までをトータルでサポートするとともに、経営課題の解決を支援している。

徳市は同社の北陸エリアで10年以上、エキスパートエンジニアとして「映像によるお客さまの課題解決」を中心とした役割を担う。主にはネットワークカメラや録画システム、映像解析ソフトウエアなどを組み合せ、AIを活用した防犯・侵入対策といった「安心・安全」を実現するためのフィジカルセキュリティ※1ソリューションを中心に、導入設計、提案支援、保守運用を行っている。

その業務内容は幅広い。ヒアリングや提案資料・設計図の作成にとどまらず、ネットワーク配線などの工事を施工管理することもあり、その際はヘルメットを被って現場を指揮する。そして導入後に困りごとが発生した時は早期解決に向けてサポートし、必要に応じていち早く現場に駆けつけて対応。課題の見極めから提案、実際の導入支援、保守運用やアフターケアまで一気通貫でお客さまに寄り添った活動をしている。

キヤノンシステムアンドサポート バリューアドサービス本部 徳市 吉晃

「業種は小売、製造、神社仏閣、保育園など、事業規模も10名以下から100名以上と、多種多様な地域企業を支援しています。経営者や役員の方から経営課題を直接お聞きすることもありますし、日々の保守運用業務で現場に伺う中で新たな課題を発見し、その解決に向けて提案を行うこともあります」

また、近年はフィジカルセキュリティにとどまらず、サイバーセキュリティも含めたトータルでのセキュリティソリューションの提供にも注力しているという。

「直近では、2024年6月に『まかせてIT 映像ソリューション』※2の提供をスタートしました。映像データの活用と運用を支援し、サイバーとフィジカル両面で中小企業の安全対策を強化するものです。これまでサポートしてきたお客さまからも多くのご要望をいただいております」

お客さまからの多様なニーズに最大限に応えるべく、徳市は日々、他部門や別のグループ会社と連携しながら、導入支援と導入後のサポートに奔走している。

  • ※1
    物理セキュリティとも呼ばれる。データやネットワークといった無形の情報資産を保護することに焦点を当てた「サイバーセキュリティ(技術的セキュリティ)」と区別して使われることが多い
  • ※2
    キヤノンS&Sが提供する中小企業向けサービス。ネットワークカメラを使用した映像データの利活用と運用を支援するもの。システム設計から保守までをトータルでサポートし、サイバーとフィジカル両面の安心・安全対策を強化する

お客さまに寄り添い続けることで見えてきた“実はこうだった”。「信頼獲得」を実感した2つのエピソード

これまでにさまざまな地域企業の課題解決に貢献してきた徳市が、顧客の期待を超える提案で信頼を獲得することができたと実感した例として挙げたのは、石川県で斫(はつり)および解体工事業を営む企業のケースだった。以前から同社にはキヤノンS&SとしてVPNネットワーク構築の支援やサーバー、ITセキュリティなどの導入といった支援を行っていた。そうした中、徳市は運用保守のために何度もお客さま先を訪問するうちに、あることに気付いたという。

「もともとの提案内容であったITセキュリティや社内ネットワークについては問題なく成果が上がっていました。しかし、現場の様子を何度も見ていて、次第に違和感というか、日々の作業のあらゆる場面でまだまだ手間がかかっている部分があるように感じられてきたんです。『ネットワークカメラを活用した業務改善が進みとても助かっているが、さらに業務の負荷を減らす方法はないだろうか』という役員の方からの声も聞きました。そしてある日、事務員の方がいつも忙しそうに業務に追われ、コミュニケーションを取りにくくなっている様子や、マッサージ機で疲れを取っている姿を目にして“これはすぐにでも動いて、皆さんの負担軽減にもっと貢献せねば”という想いに至りました」

早速、徳市は現場の方々にヒアリングを実施。この現場では産廃車両の出入りや積載状態をネットワークカメラで撮影して管理していたが、映像管理や情報の記録を目視と手動で行っていたため、膨大な作業量をこなしていることが分かった。そこで徳市は、映像から自動で車両ナンバーを認証し、デジタルデータの作成まで可能なシステムの導入を検討した。そのまま解決かと思われたが、ここで雪国ならではの問題が発生。雪が被ってしまいナンバーが上手く読み取れないケースがあるという壁が立ちはだかる。

「さてどうしようかと思いましたね(笑)」そう言いながら当時を振り返る徳市だが、あるシステムの組み合せをひらめいたという。それは、映像内の車両の中で該当のものがどれかを既存の映像録画サーバー機能とネットワークカメラのAIによって特定してログを残せる仕組みで、これを使えば、仮にナンバーが読み取れなかった場合でも、その車両を即座に特定することができる。先のナンバー認証と併用することで、作業の大部分を自動化しつつ抜け漏れのない記録と管理が可能な、ハイブリッドなシステムができ上がると目論んだ。デモンストレーションも無事完了し、お客さまからも「ある程度の自動化ができれば御の字と思っていたが、ここまでよりよい仕組みを構築してもらえるとは!」と大変好評ですぐに導入。その結果、大幅な業務効率化に加え、車両の検索、滞在状況管理、未登録車両のアラート機能などの付加価値の創出にもつなげることができた。

車両ナンバーを認識するソリューションイメージ。基本的には入車時の映像で認識するが、
録画、ナンバー部分を検知しての読み取り、画像をデジタル処理してのデータベース化も可能で、ログレポートで記録漏れの付け合わせも行う

「お客さまから“今後、何があってもキヤノンS&Sとの付き合いは変わらない”という言葉までいただけたことが本当に嬉しくて今でも覚えています。お客さまのために何ができるのか、常に考え続けていたからこそできた発想と行動が、課題解決につながったのではないかと思います」

提案時の資料を指差しながら解説する徳市

もう一つは約10年前、こちらも石川県で、南部エリアに拠点を置く鉄鋼業のお客さまを担当した際のこと。当時、その企業は従業員約40名、5つの工場を持つ規模だったが、頻繁にネットワークトラブルが発生し、業務がストップしてしまうこともあったという。

「たびたびの改修から複雑な構造になってしまっており、お客さま自身も全体のネットワーク状況を把握しきれていない状態でした。他の業者に依頼したこともあったらしいのですが、複数の異なるシステムが導入されていたため対応が難しいとなったようで、その後当社にお声がけいただいた形になります。実際に現場でネットワークの環境を確認した際には、確かにこれは手強そうだと思いましたが、他社ができないと言った仕事で、自分に声がかかったのだから何がなんでもやってやるぞと。きちんと精査をし、複数入っていたそれぞれのシステムの業者と連携しながら原因の切り分けを行いました。各社の協力もあってなんとかボトルネックも判明し、それを踏まえたパラメータシートの管理や端末・ネットワークの管理方法を新たに提案しました」

その献身的な姿勢が評価され、「すべてのネットワークの管理を任せたい」という熱い依頼を受けた。早速徳市はサーバールームの構築設計からネットワークカメラシステムの連携まで、大規模な工事を推進。最終的には10Gbpsの光回線インフラ環境を構築し、セキュリティレベルを飛躍的に進化させることができた。

「現在、こちらのお客さまは年商50億円に迫り、従業員数、工場の規模共に当時の3倍に成長しています。これまでの貢献から“すべてをキヤノンS&Sに任せる”と考えていただけるようになり、現在も職場環境の効率化と安全性の向上を継続的に支援しております。大変な作業も多かったですが、 どのような状況でもお客さまの課題に寄り添い、“お客さまが抱えている課題は自分自身の課題だ”と思って取り組むことで、最終的に信頼できるパートナーとして私たちを選んでいただける。そしてその強い信頼関係から、お客さまのさらに大きな進化を支援することができるようになっていく。それを実体験として学びました」

徳市のそういったマインドの根底には、昔から変わらない性分もあるようだ。

「子どもの頃から、“困っている人を見ると自分のことのように感じて放っておけない”ということがよくあったなと思います。大人になってから、“自分の良心に忠実であり他人に対して思いやりを持つこと”を意味する“忠恕(ちゅうじょ)”という言葉に出合い、ずっと大切にしています。これが今“なんとしてもお客さまのお役に立ちたい”という想いにつながっているのではないかと思います」

  • 斫(はつり)工事とは、主に建設現場で行われる作業で、コンクリート製の壁や床、柱などを削ったり、壊したり、穴を開けたりする工事を指す。建物の修繕やリフォーム、新築工事の際に必要となることが多い

“忠恕”の精神でパーパスの実現に向けて一歩一歩着実に進む 

徳市が磨いてきた“忠恕”の精神は今、地域のお客さまにとどまらず、その先の社会にまで向けられている。キヤノンMJグループが掲げるパーパス「想いと技術をつなぎ、想像を超える未来を切り拓く」ともリンクすると感じているようだ。

「お客さまや仲間、さらには地域社会の幸せを願い、思いやる気持ちが広がれば、想像を超える未来を切り拓いていける。私はそう信じています。映像ソリューション分野においても、競合他社が多い領域ではありますが、本気で社会課題の解決に取り組んでいくためには、まわりと戦うのではなく、仲間として協力し合うべきだと考えています」

未来に向けて必要なことは競合より共創だと話す徳市は、映像ソリューションが今後社会にもたらす可能性について聞くと、それに向けた意気込みと併せてこう語った。

「例えば、都市の安全性を高めるためのスマートシティ構築や、災害時の迅速な対応など、映像技術の可能性は無限大です。今後、AI技術をはじめとする最先端テクノロジーも活用した映像の新たな価値を創出することで、地域社会や社会全体にポジティブなインパクトを与え、より良い未来を創造することができる。そのためには、まず身近な小さな課題から解決し、それを地域全体の社会課題解決につなげていくことが大切だと考えています。エキスパートエンジニアとして自分自身も小さな努力を積み重ね、技術と想いをつないで課題解決を実現していきたいですね」

徳市はこれからも忠恕の精神を胸に、顧客の期待を、そしてより多くの人々の想像を超えるような未来づくりに向けて、一歩一歩着実に歩みを続けていく。

「仕事の上で大事にしていることは?」という問いに、「これって絵を描いてもいいんですか?」と言いながら、現場スタイルで日々の仕事に対するスタンスを綴った徳市。「楽しむ」ことが何よりの原動力。 楽しくなければ、新たな領域へ「挑戦」することも、仕事を「やり抜く」ことも難しくなる。そこに継続的な成長は望めない。とのことで、ポップな字体とイラストとは裏腹に、芯のある熱い想いが込められている

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