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経理・会計から始まる企業変革。経営基盤ソリューション「SuperStream-NX」が目指す、その未来とは

2025年1月10日

キヤノンMJのいま

どのような会社でも、企業活動を行う上で欠かすことのできない経理や会計の業務。実は今、それらを未来に向けてより良いものに変革していこうとする、国をあげた大きな動きがあることはご存知ですか? 担当している方でないと、知らないことも多い経理・会計の業務ですが、何が変わり、企業にはどんな対応が求められているのでしょうか。

キヤノンITソリューションズ(以下、キヤノンITS)で、会計・人事ほかバックオフィス業務の最適化を実現するソリューション「SuperStream(スーパーストリーム)」の機能改善や新規開発に携わる、SuperStream企画開発本部 本部長 山田 英樹さんに聞きました。

法改正を受け、毎年のように対応が迫られる経理・会計業務

キヤノンITソリューションズ SuperStream企画開発本部 本部長 山田 英樹

まずは経理・会計とはどのようなものなのか、簡単に教えていただけますか?

企業によって求められる業務範囲が異なることもありますから、なかなか難しい質問ですが…(笑)。一般的には、請求や給与、支払い管理など、企業の経済活動に関わる日々の取引、お金の動きなどを記録したり管理したりするのが経理。そして、そうした日々の記録などを基に企業の資金全体の流れを決算書にまとめ、株主などのステークホルダーに報告する役割を担うのが会計といえます。また、今後の経営に役立つ情報を経営者に伝える役割なども担っています。経理・会計で部署が分かれている企業もあれば、同一部署で担っている企業もありますね。

経理・会計では、今どんなことが起こっているのでしょうか?

実は、経理・会計は、税法や会社法など頻繁に起こる法改正を受け、都度変化が起き、対応を迫られる業務です。

近年ですと、2023年10月に開始されたインボイス制度や、2024年1月の電子帳簿保存法改正による電子取引のデータ保存義務化などは、経理・会計業務に携わる方々にとってはもちろん、社会的にも非常に影響が大きいものでしたから、多くの方々の印象に残っていると思います。

そうした中、インボイス制度開始と同時に解禁されたデジタルインボイスへの対応により、紙をベースとした業務からデジタルを活用した業務への移行が進みつつあるのが、現在の経理・会計における大きな流れといえます。

経理・会計の大きな変革に向けて、国をあげて取り組みが始まっている

デジタルインボイスとはどのようなものなのでしょうか?

請求情報を、売り手のシステムから買い手のシステムに直接データ連携し、自動処理できる仕組みです。バックオフィスの業務効率化やペーパーレス化が求められる中、デジタルインボイスを活用することで記帳や入金消込など一連の経理業務をデジタルで完結できるようになり、税務申告を含めた作業の圧倒的な効率化と正確な処理の実現が期待できます。

デジタル庁も積極的に推進しており、実は今、民間企業も交え、日本におけるデジタルインボイスの普及に向けた活動が活発化しているんです。

普及に向けた活動とはどういったものですか?

各社がさまざまな経理・会計システムを利用しているので、システムが異なるとデジタルインボイスであっても自動処理ができず、手入力が必要になってしまいます。そこで、標準化されたデータを活用することで、システムの差異を問わずに連携できる仕組みを構築しようとしています。

このデジタルインボイス標準化を牽引しているのが、デジタル庁や、システムベンダーを中心とした事業者が集う「デジタルインボイス推進協議会(EIPA)」です。キヤノンITSも加盟し、実証実験を行っています。会計システムを提供している日本企業の多くが参加しているのですが、いわばこれまで“ライバル”だった企業たちが手を組んで、経理・会計のより良い未来を共に目指すという、画期的なプロジェクトです。

2024年5月から6月には、20社以上の有志企業とデジタルインボイスの相互接続テストを行い、お互いに接続できることを確認しました。私個人としては、経理・会計における大きな変革の可能性を感じ、初めて電子メールを送った時と同じくらい感動するできごとでした。

企業の垣根を越えて、経理・会計の変革にチャレンジしているのですね。

はい。日本ではデジタルインボイスが義務化されていないので、まだ広くは浸透していません。しかし海外ですと普及している国も多く、イタリアをはじめ、デジタルインボイスでの企業間取引が義務化されている国もあります。今後、グローバルな取引を進める中で、必須の対応となっていく可能性は高いでしょう。

とある日本企業は、取引先にも協力を仰いで紙の請求書からデジタルインボイスへと切り替え、その結果、請求発送業務を99%削減できたと聞いています。働き手不足が叫ばれる中、業務効率化への貢献度も非常に高く、移行は徐々に進んでいくと考えています。

長年のノウハウと先進テクノロジーを結集した経営基盤ソリューションで、経理・会計の変革を支える

キヤノンITSは、そうした経理・会計の変革に向けて、どのような取り組みをしているのでしょうか?

EIPAのような活動への積極的な参加はもちろん、デジタルインボイスに対応したソフトウエアやサービスの提供を通し、日本の経理・会計の変革を支えています。

私たちは、長年培ってきたノウハウと先進テクノロジーを結集した経営基盤ソリューション「SuperStream-NX」をご提供しています。多くのお客さまに支持いただいており、約30年にわたり10,000社以上にご利用いただきながら、積極的にお客さまの声を反映し、機能を磨き続けています。

2024年6月のアップデートでは、デジタルインボイスを発行して取引先に送信する機能と、取引先が発行したデジタルインボイスを受信し、自動的に保管する機能を追加しました。今後、自動で支払処理をする機能なども開発する予定です。

先ほどお話しした通り、経理・会計の業務では、法改正などの変化が頻繁に発生するため、従来はシステムのアップデートを都度行わなければならず、各企業にとって大きな負担となっていました。

そこで、オンプレミス(社内でサーバーを構築してシステムを利用する形態のこと)からクラウドサービスへ移行するニーズが高まっており、「SuperStream-NX」では、クラウドサービスを10年近く前からご提供しています。クラウドであれば、月額利用料の中でシステムの保守やアップデートを私たちにお任せいただけるので、経理・会計の本来の業務に集中していただけます。

「SuperStream-NX」はどういった特長のあるソリューションなのですか。

大きな特長の一つが、他社システムとの連携を柔軟に実現できる点です。バックオフィス業務全体を最適にするためには、経営基盤ソリューションと、その他システムの連携が欠かせません。その思想のもと、データベースやプログラムソースを公開し、ある程度自由にアドオンやカスタマイズをできるようにしています。今でこそAPI連携は一般的なものになっていますが、30年前はここまで開示しているベンダーは珍しかったと思います。

当時、「競合他社に真似されてしまう」など懸念の声はなかったのでしょうか。

契約などで制限をしていましたが、もちろんありました。しかし、お客さまファーストで考えると、他のシステムと柔軟に連携できた方が本質的な課題解決につながるのは間違いありません。また、私たちには全国の販売網やきめ細かなサポート体制、パートナー企業との信頼関係、お客さまの声をもとに改善し続ける仕組みなど、製品だけにとどまらない強みがあります。

お客さまの声をもとに改善し続けているということですが、具体的にどのように声を集めているのでしょうか?

製品内から要望や意見を送ったり、気に入った機能には“いいね”ボタンで反応を送ったりできるような仕組みを設けているので、エンドユーザーであるお客さまから、私たちに直接声が届きます。

また「SuperStream-NX」はパートナー企業を介してお客さまにご提供しているため、その声を集めることも重要です。「ここを改善したら、システム導入が楽になる」といったパートナー企業の声に応えることで、結果的にお客さまの導入コストが下がるなどの還元につながります。パートナー企業の声は、専用のQAサイトや機能要望会を設け、ヒアリングしています。

こうして集めた声を、一年に一回のペースでスピーディーに製品に反映し、アップデートを行っています。おかげさまで「直感的で分かりやすい」「使いやすい」と、長く支持をいただいています。また、近年ニーズが高まっているAI-OCR機能やデータ分析ツール、BIツールなど各種機能と柔軟に連携できる点も非常に好評です。

経理・会計から始まる企業変革。そのエンジンでありたい

山田さんが今後目指すことを教えてください。

デジタルインボイスの普及は、まだ一合目にも達していないと感じています。多くの方に意義やメリットを地道にご説明している段階ですし、それを理解いただいたとしても、必要に迫られなければ実行に移しにくいというのが、多くの企業の現状ではないでしょうか。「SuperStream-NX」のご提供を通じて、そうした移行へのハードルを下げていきたいと考えています。

少子高齢化で働き手を集めるのが難しくなる中、経理・会計の業務においても、より高付加価値な仕事が求められるようになっています。経営に近い領域での貢献やタレントマネジメントによる組織改編など、バックオフィスだからこそ進められるビジネス変革は多いでしょう。そのような新しいチャレンジを支え、加速させる存在として、「SuperStream-NX」が少しでもお客さまに貢献できるよう、これからも取り組んでいきたいです。


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