page2024 キヤノンブース レポート
印刷メディアビジネスの総合イベント「page2024」出展インクジェットテクノロジーとパートナー連携で印刷業界の未来につながるソリューションを展示
キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)は、東京・池袋サンシャインシティコンベンションセンターで2024年2月14~16日まで開催された、印刷メディアビジネスの総合イベント「page2024」に出展しました。来場者数は昨年を大きく上回る2万1,580名となり、連日多くの来場者で賑わいました。
今回のキヤノンブースでは「印刷の未来を切り拓く~インクジェットテクノロジーでビジネスに変革を~」をテーマに、インクジェット印刷機を中心とした最新のデジタル印刷機をはじめ、印刷業に向けたソリューションの紹介・展示を行いました。
現場の課題を解決し新たなビシネスを創出するインクジェット印刷機
発注企業のマーケティング活動の見直しや環境問題意識の高まりによって印刷部数の適正化が進むなど、近年、商業印刷の現場は顧客ニーズの大きな変化への対応が求められています。さらに、効率化による納期の短縮や担い手不足、環境負荷軽減への取り組みなど、これまでにはなかった課題とも直面しています。
そのような中で注目を集めているのが、大きな技術的進化を遂げている「デジタル印刷機」です。製版のようなプリプレス工程が必要となるアナログ(オフセット)印刷機とは異なり、データを直接印刷するデジタル印刷機は、印刷現場の課題を解決するだけでなく、新たなビジネスチャンスを生み出すことを期待されています。
キヤノンがこの分野で積極的に開発を進めているのが、現代の商業印刷に求められる条件を高いレベルで満たす枚葉カラーインクジェット印刷機の「varioPRINT iX」シリーズです。
会場では、同シリーズの主力機の一つで、A4サイズの印刷を毎分320ページという、トナータイプの印刷機を大きく上回るスピードで出力する「varioPRINT iX3200」と、2024年後半以降の発売が予定される毎分170ページを出力(同じくA4の場合)する中型機「varioPRINT iX1700」をさまざまな出力サンプルで紹介しました。
いずれも、画質面でこれまで優位とされてきたオフセット印刷に迫る品位を実現しながら、小ロット、短納期、パーソナライズといったデジタル印刷ならではの強みを発揮する、最先端の印刷機です。
「varioPRINT iX1700」は表面に質感のあるラフ紙などへの印刷も可能で、耐久性(耐擦過性)に優れ、環境負荷の小さい水性ラテックスインクと、その性能を引き出す新型プリントヘッドを搭載します。インクジェット印刷機の新たな可能性に、多くの来場者が関心を寄せていました。
ラテックスインクの強みを活かしたキヤノン初のラベル印刷機
もう一つ、来場者の関心を集めていた印刷機が、こちらも2024年後半以降の発売が予定されている、キヤノン初の産業印刷向け水性インクジェットラベル印刷機の「LabelStream LS2000」です。食品や日用品の外装に用いられるラベル印刷は、製品のライフサイクルの短縮化により、小ロット・短納期での生産が求められ、デジタル印刷への期待が高まっています。
「LabelStream LS2000」は「varioPRINT iX1700」にも使われる新開発のラテックスインクを採用することで、色鮮やかなラベル印刷を実現。透明フィルムへの印刷時にカラーインクの下引きとして利用される白インクの搭載や食品安全性基準への対応など、ラベル印刷の現場の多様なニーズに応えた機種ということもあり、多くの来場者が展示した印刷サンプルの品質を入念に確認していました。
印刷現場の課題解決にパートナー企業とともに取り組む
前述のように、商業印刷の現場では小ロット化や短納期化、労働人口の減少、熟練技術者の不足など、それぞれに固有かつ多様な課題と向き合っています。印刷事業者が抱えるこれらの課題に対し、キヤノンMJは高い技術を持つパートナー企業と協力して、受注処理から面付・印刷・加工・出荷作業までワークフロー全体を見据えた上で、それぞれの現場に最適なソリューションの提案を行っています。
キヤノンとパートナー企業からの改善提案事例の一つとして、会場では封筒フィーダーソリューションを展示しました。商業印刷向けプロダクションプリンター「imagePRESS V900」とオプションの「中綴じフィニッシャー・AG1」に、光文堂が開発した封筒フィーダーを組み合わせた製品です。
封筒の大量印刷では、用紙補給作業や員数確認作業など、オペレーターがつきっきりになってしまうことが課題として挙げられます。本ソリューションの導入によって、最大300枚の大量給紙や追い積みによる用紙補給が可能となり、封筒の大量印刷を請け負う印刷事業所の省力化・効率化を実現します。
また、今後深刻さを増す印刷現場における人手不足問題の一つの解決策として、製本機とAGV(自動搬送車)を組み合わせ、印刷、用紙搬送、製本に至る工程を自動化し無人化を実現した、ブックラインソリューションの実機展示とデモンストレーションを行いました。
印刷機は、出力物の静電気を除去する「除電ユニット」、全数検品を実現する「インスペクションユニット」、調整作業を自動化する「センシングユニット」の三つの自動化オプションを接続した、商業印刷向けプロダクションプリンター「imagePRESS V1000」を展示。「imagePRESS V1000」で印刷が終わった用紙をAGVがスタッカーから取り出し、通路を挟んだ隣のホリゾンブースにある製本機まで自動で搬送するデモンストレーションは、大きな注目を集めました。
自動化を進めていく上では、印刷機を制御するプリントコントローラーも欠かせない存在です。キヤノンはそうしたアプリケーションの開発にも力を入れていますが、中でも重視しているのが作業者不足という課題を解決するための視点です。
今回展示したのは、印刷ジョブの進捗を管理する「PRISMAremote Manager」と、稼働状況や出力枚数を管理する「PRISMAlytics Dashboard」という二つの「PRISMA Tools」です。中でも注目度が高かった「PRISMAremote Manager」は、印刷機の操作のみならず、進捗状況の確認や印刷終了予定時刻の確認、インク・トナーの交換タイミングなど、最大8時間先までのスケジュールを自動で調査し、ブラウザ画面上に表示する仕組みを備えています。
情報の確認は印刷機のそばにいなくてもできるため、オペレーション業務にも自由度が生まれます。これらの中には他社製品にはない機能もあり、熱心に説明に耳を傾ける来場者の姿が目立ちました。
印刷に求められる多様なニーズに合わせソリューションを用意
今回の展示では、他にもキヤノンが提供する各種印刷ソリューションを展示しました。その一つが看板やポスター、壁紙の印刷を行うサイン&ディスプレイ市場向けのUV硬化型大判プリンター「Colorado M5/M5W」です。屋外や公共の場所に設置されることを想定した耐水性、耐光性の高いUVgelインクを採用した64インチ(約1.6m幅)ロールtoロールプリンターです。
「Colorado M5W」は新たに白インクと新型のメディア検出センサーを搭載したことで、凹凸のある素材や半透明の素材、マグネットなどへの高品質な印刷が可能になりました。また、インク自体にも大きな改善を加えたことで、硬化速度のアップやUVインク特有の臭みの抑制など、生産性や作業性の向上も実現しています。
また、大判インクジェットプリンターの「imagePROGRAF」シリーズでは、グラフィックアート制作やポスターの出力、CADデータの出力まで広範囲に活用される同シリーズの中から、12色インクを採用して大判プリンター最高画質を実現したA1出力機の「imagePROGRAF PRO-2100」と、10色インクに蛍光インクを加えることで高い明度と柔らかな色再現を可能としたB0出力機「imagePROGRAF GP-4000」の2台を展示しました。美しく緻密なプリントサンプルに多くの来場者が足を止め、その品質を確認していました。
大判インクジェットプリンターは、デザイン・印刷業界における活用はもちろんのこと、販促物プリントの内製化を進める小売店や飲食店への導入も増えています。なお、そうした内製化を行うケースで役立つのが、キヤノンが開発する簡単ポスター作成アプリケーションの「PosterArtist」です。さまざまなテンプレートや書体を用意し、誰でも無料で手軽に高品質なポスターの制作が可能になるため、今後ますます活用が広がっていくことが予想されます。
変革の時を迎える印刷業界に向け、キヤノンは先進的なデジタル印刷技術を採用した製品やサービス、ユーザー視点に立ったソリューション提案を行っていきます。キヤノンのインクジェットテクノロジーで広がる印刷ビジネスの新たな可能性にぜひ注目ください。