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だから「天職」と言い切れる。傾聴を大切に、お客さまに寄り添うコミュニケーターの情熱

2025年1月29日

情熱の源泉

コールセンターの朝は忙しい。受付開始時間になると、待っていたかのように電話が鳴り始め、対応に追われる。電話が一段落すると、お客さまからのご相談やご要望に応えられるよう、製品・サービスに関する知識や技術を磨き続ける。コールセンターでお客さまサポートにあたるコミュニケーターは、お客さまにとって心強い存在だ。

そんなコミュニケーターを「自分の天職」だと話す甲斐 洋子。キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)グループのコールセンター業務を担うキヤノンカスタマーサポート(以下、キヤノンCS)で、法人のお客さまを担当するコミュニケーターとしてBtoBサポート本部に所属。お客さまに寄り添う姿勢が評価され、現在はコミュニケーターを取りまとめるリーダーとして後輩の指導にもあたっている。

「この仕事に向いているんじゃない?」

学生時代にコールセンターでアルバイトをしていたときに言われたその一言がきっかけとなり、これまで着々とキャリアを築いてきた。甲斐が働く福岡を訪ね、コミュニケーターとしてお客さまの想いに寄り添い、お客さまの声に応え続ける彼女の情熱の源泉に迫る。

共感して受け止める。傾聴力でお客さまの困りごとに対応

キヤノン製品・サービスおよび関連機器に関する問い合わせの約80%を受け、購入前・購入後のご相談、修理受付などのサポートを行うキヤノンCSのコールセンターは、お客さまと接する最前線ともいえる。一般の方からの問い合わせ先となるBtoC担当、法人からの問い合わせ先となるBtoB担当に分かれたコミュニケーターたちが、日々、お客さまの困りごとに応じている。

そんなコミュニケーターとして、入社以来キャリアを築いてきた甲斐。「なぜコミュニケーターになろうと思ったのか」との問いに、「学生時代にコールセンターでアルバイトをしていて。そのときに言われた『声や話し方が、コミュニケーターに向いているんじゃない?』という言葉が大きなきっかけになりました」と答える。

まずはBtoC担当を、その後、キャリアを広げるべく自ら希望してBtoB担当に移った。甲斐にとって、この転向が大きな転機になったという。

キヤノンカスタマーサポート BtoBサポート本部 甲斐 洋子

「社内の募集を見て手を挙げたものの、いざ足を踏み入れると同じ“電話をとる”でも、業務の中身は結構違ったんです。お客さまや取り扱う製品が異なるのはもちろん、お困りごとに応じるためのスキルも違いました」

コミュニケーターとして、BtoC、BtoBともに、製品・サービスに関する正確な知識は当然必要だ。その上で、業務や求められるスキルの違いについて次のように語る。

「BtoCの場合は、最初にお電話いただく一次対応の際に、お客さまの想いを受け止めてともに解決していく力が必要です。そのためには、深い製品知識はもちろん、お客さまの声にじっくりと耳を傾け、キヤノンの製品・サービスをどういう想いで使っていただいているのかを理解し、お困りごとやご要望にお応えしていく姿勢が大切になります。最終的には『解決した』『より便利に使えるようになった』という感動をお客さまと共有できることが理想です」

一方、BtoBの場合は、いかに迅速に対応できるかが重要になる。例えば、製品やサービスでのトラブルが発生した場合、状況を正確に把握した上で、困りごとの内容を切り分けて、誰がどのように対応すべきかを即座に判断しなければならない。

「BtoBの場合、私たちコミュニケーターの一次対応で解決まで導ければ一番良いのですが、それがかなわない場合は、お困りの状況やご要望を正確にお伺いし、状況に応じて営業担当者や技術担当者と連携したり、関係者にエスカレーションしたりする必要があるため、高い判断力が求められます。製品やサービスのトラブルが原因でお客さまの業務が止まってしまう可能性を念頭に、細心の注意を払って迅速に対応する必要があります」

さらに甲斐は、「BtoCとBtoBの両方に共通するとても大切なことがあります」と続ける。それは「傾聴力」だ。甲斐にとっての傾聴とは、相手に共感しながらしっかりと想いを受け止めることだという。具体的にどのような対応をしているのだろうか?

「細かいことかもしれませんが、お客さまにかける言葉一つひとつを工夫するよう心掛けています。共感を表す『お気持ちはごもっともです』といった言葉を添えることや、安心感を持っていただけるように、『至急手配をするため、こことここを教えていただけますか』といった素早い解決のためのアクションが伝わるコミュニケーションですね」

さらに、電話を終える前の言葉にもこだわりがあるという。

「BtoCでは、気軽にお問い合わせをしていただけるような一種のウェルカム感を出すため、『お困りの際はお気軽にご連絡ください』とお伝えしています。一方、業務でキヤノン製品やサービスをご利用いただいているBtoBのお客さまは、お問い合わせの内容が業務に支障をきたしている可能性があるため、当然、ウェルカム感は適していませんよね。『ご面倒かと思いますが、お困りの際は、またお電話いただけますか』といった言葉を選ぶようにしています」

実は、このような対応方法はマニュアル化されているものではない。各コミュニケーターがそれぞれ自分なりの工夫をし、顧客応対の向上に努めている。

「用意された基本的なマニュアルにそのまま倣うのではなく、お客さまのご状況にあった自分なりの“色”を付けて対応することを大切にしています。それによって、お客さまごとに最適なコミュニケーションを実現できると思います」

  • エスカレーション:コミュニケーターが一次対応で解決できない案件を、コミュニケーターのサポートを担う者や責任者、当該案件の担当部署などに引き継ぐこと

チームメンバーへのサポートが、お客さまへの応対品質の向上にもつながる

傾聴力に裏付けされた対応力の高さや、BtoC担当からBtoB担当へのキャリアチェンジを持ち前の勤勉さで見事にのり越え、ロールモデルとして高い評価を受けたことから、社内表彰もされた甲斐。現在はリーダーとして、後進からの相談ごとを受けるだけでなく、電話のモニタリングから具体的な指導や電話応対の品質改善を行うなど、コミュニケーターの取りまとめやサポートを中心とした業務に携わる。

キヤノンカスタマーサポート BtoBサポート本部 甲斐 洋子

「もしミスしてしまったら、次回は起こらないようにするために何ができるのか? ミスの原因を一緒に考えることはとても大事です。そのため、例えば、チームメンバーの応対記録をモニタリングして独自の評価システムで分析し、各メンバーにフィードバックするなどしています」

さらに、全員のスキル底上げのために毎月座談会を開催。電話応対のコツや解決率を上げてお客さまに喜んでいただくにはどうすればいいかを話し合って、全体の応対品質向上につなげている。

「リーダーになってからは、コミュニケーター一人ひとりに寄り添うことが、ひいてはその先のお客さまに寄り添うことにつながると信じて仕事に向き合っています」

お客さまからの感謝の言葉に支えられて

リーダーになった今でも、電話がひっきりなしにかかってくる午前中などは、積極的に電話をとっているという甲斐。そのため、迅速かつ適切な対応ができるよう、常に製品・サービスに関する知識や問い合わせの多い事柄を勉強することも忘れない。そんな彼女の支えとなっているのは、やはり電話の向こうにいるお客さまからの言葉だと話す。

キヤノンカスタマーサポート BtoBサポート本部 甲斐 洋子

「BtoBの場合、お問い合わせの内容がお客さまの業務に直結しているため、とても急いでおられる方が多いですね。迅速に解決でき、最後に『アフターケアもさすがキヤノン』『これからもキヤノンを使う』と言っていただけると、コミュニケーターをやっていて本当に良かったと嬉しく思います」

そんな「コミュニケーターの仕事を突き詰めていきたい」と話す甲斐に、コールセンターの分野でも普及が進むAIチャットや電子メールといったチャンネルについて意見を聞いた。

「それぞれのチャンネルにそれぞれの良さがあると思いますが、AIには理解できないこと、メールではもどかしいこともあると思います。不安や不満といった感情を解きほぐすのは、なんといっても人と人が話すことではないでしょうか。また、最前線にいる私たちコミュニケーターがお客さまの生の声を受け取り社内につなぐことで、もっとお客さまに寄り添える会社になれると考えています」

さらに今後、甲斐自身がお客さまのために挑戦したいこともあるようだ。

「コミュニケーターに向いている」といった一言がきっかけでこの世界に入った甲斐。努力と傾聴を重ね、電話の向こうにいるお客さまの状況と真のニーズがどういったものかを電話の声からくみ取り、自らの“色”を付けて応えることのできるコミュニケーターのプロとなった。その現状に満足せず、お客さまのためにキャリアを重ねていこうとする情熱があるからこそ、これからもお客さまに寄り添い続ける存在であるに違いない。

「コミュニケーターは、問い合わせを受けて解決する、いわば受動的な仕事です。ただ、日々お客さまと接してきた私たちだからこそ、社内に対し、お客さまのプラスになるような提案もできるはず。キヤノンを使い続けたいと思っていただけるような付加価値を生み出すために、自らアクションを起こせるコミュニケーターになっていきたいですね」

仕事で大切にしている「万里一空」という言葉。一つの目標に向かって努力し続けるという意味がある。常に努力を惜しまず、お客さまのために真摯に仕事に向き合い続けてきた甲斐の人柄が感じられる言葉だ

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