イマドキの若者が“推し活”にはまる背景とは?report8
2021年には流行語としても話題を集めた“推し活”。
数年前から少しずつ耳にするようになり、今では若者の間で広く浸透しています。
「推し活市場」や「推し消費」という言葉が世間で言われ始めているように、
盛り上がりも感じることができます。
一方で、そもそも“推し活”とは何か、どうして若者の間で流行しているのか、
解き明かされていない部分も多いのではないでしょうか。
今回は現代の若者が推し活にはまるワケとは、若者のどのような価値観が影響しているのか。
「イマドキの若者が推し活にはまる背景」についてレポートします。
①あなたの推しに関して、推すようになったきっかけや理由などを含めて具体的に教えてください。 ②推し活に関して、あなたが普段行っていることや購入したことがあるアイテムを教えてください。 ③ご自身の推し活を振り返り、何か気付いたことはありますか?どのような傾向があるか、背景や価値観について自分なりの分析をしてみてください。 ④あなたが興味深い・特徴的だと感じる “若者ならではの推し活に対する価値観や行動” を教えてください。
そもそも“推し活”とは何なのか。実際に“推し活”をしています!
という人もいれば、言葉として聞いたことはあってもあまりよく分からないという人も
いるのではないでしょうか?まず“推し”とは、一般的に
「誰かにおススメしたいほど気に入っている人やモノ」を指すことが多いです。
“推し活”は、その“推し”を応援する行動(活動)のことです。
“推しごと”なんて言われていることもあります。推しの対象は、アイドルや俳優、
お笑い芸人、アーティスト、YouTuber、スポーツ選手、キャラクター、
漫画、アニメ、ゲーム、鉄道、文具、食べ物・・・など
多岐にわたります。推し活についても、応援の仕方は人それぞれですが、代表的な事例だと
「ライブや握手会に参加すること」や「グッズを集めること」、「周囲に推しの魅力を伝えて、
推し仲間を増やそうとすること(=布教)」があげられます。
このような推し活がなぜ、現代の若者に浸透しているのでしょうか。
今回は、高校生・専門学生・大学生と一緒にディスカッションをしました!
若者自身も言語化出来ていなかったところを深堀しながら、
イマドキの若者が“推し活”にはまる背景を紐解いていきます!
目標に向かう、その過程が楽しい
#プロセスエコノミー #参加価値
推しの夢が“大きな箱(=大会場)でのライブ”。夢に向かって推しが頑張るプロセスを一緒に楽しみたい。もし推しが今の夢を叶えても、きっと別の目標を掲げてくれると思うから、その時はまたその新しい過程を楽しみたい。
自分が推すことで推しが有名になったり、大きな仕事が決まっていくことは嬉しい。
その過程に自分も一緒に参加している感覚で、そこに価値を感じているのかもしれない。
オーディション番組で頑張っている姿が励みになる。推しより頑張らないと!と思えるし、自分にとって良い刺激になるもの(=頑張る姿)を求めているのかもしれない。
推し始めが近い存在だった場合、ショッピングモールなどの近距離で会ってツーショットを撮ったり、自分のことを覚えてもらえていたけれど、有名になりすぎてしまうと、ライブチケットすら買えなくなってしまう。多くの人に推しの良さが伝わり“有名になってほしい”と思う気持ちと推しが遠くにいってしまう“さみしさ”に葛藤する。
推しは、私たちのアイデンティティ
#自己表現 #多様性
#セルフブランディング
自己紹介をするときは「名前、クラス、生年月日・・・・“推し”」。何を推しているかは、その人の個性やアイデンティティの一つだと思う。推しの話をすることが仲良くなるきっかけになるし、推し活の方法は人それぞれなので相手がどんな人か知ることにも繋がる。
推しが違う友達と話す自分を振り返ると、一方的に推しについて語っていることも多い。あわよくば相手もハマってくれたら嬉しいけど、私も好きなだけ話すからあなたも話してねというスタンス。好きなものが人それぞれであることは当たり前だし、十人十色だからこそ面白い。
情報収集にSNSは欠かせないけれど、それだけじゃない。例えばTwitterは双方的なコミュニケーションツール。 推しごとにアカウントを分けている人もいて、ライブ前に回ってきたハッシュタグを使って自己紹介投稿をすることで交流する。一方でInstagramは、推しのお披露目や自分が何が好きでどんな人間かを表現する場所。アカウントを分けていない人も多い。
推しへの愛は直接友達に語りたいから、Instagramには載せない。想いが溢れてしまうので投稿だけだと伝わりにくい気がするし、何より直接会って話すことが楽しい。この熱量をリアルに伝えたい!
「ずっと活動してほしい」から、
学生だってビジネス視点で応援する
#自分にできること #効果的な応援
長く活動してもらうために自分たちができることって何だろう?
ライブチケットやCD、グッズの購入はもちろん、サブスクだって再生回数で還元されることを知っているから意識して聞く。
推しの活動にダイレクトに影響を与えることができるものを考えて効果的に応援したい。
推しが出演するラジオ番組にたくさんのお便りを送るのは、私の投稿を読んでほしいだけじゃない。「これだけの数のお便りが届く=たくさんの人に聞いてもらえている=また出演してもらおう」というラジオ番組側の視点に立った応援の仕方である。
グッズの売れ行きが良くない時、生配信で「買ってくれたら助かるな」って推しが言っていた。人間味があって応援したくなるし身近に感じられる。ちょっと生々しいお金の話も、ライブで歌詞を間違うことも、同じ人間という感じがして面白い。
推しの存在は、遠ければ遠い程いい。握手会は苦手なタイプで、ライブだけ見に行きたい。推しは自分とは別世界、雲の上の存在であってほしいし、プロ意識も感じたい。不満を言ったり、パフォーマンスでミスが続くとやる気が感じられなくなって、推すことをやめようかなと思う。
推し・好き・ファン・オタク…etc.
いろんな言葉があるけれど、
ニュアンスの違いは何だろう?
いいな、好きだなと思ったら、とりあえず“ファン”って言える気がする。今流行っている人が好きとか、そんなに詳しくはないけど好きなとき。
「私この人のファンなんだよね」と「この人推し」「この人のオタク」は違う。“ファン”というだけだと深い話は難しい印象を受けるけど、“推し”や“オタク”と言われると詳しい話を聞きたくなる!
“オタク”は人によってはやや重い印象だけど、“推し”は何に対しても使える。学校やバイト先など日常の色んなところに“推し”がいる。
“推し”は対象範囲が広いから、一番ライトに使える。その次がファンかな。“オタク”は二次元を連想しやすい印象で、自分ではあまり使わないかも。
“推し”という言葉はまだ新しいことから、定義が広く細かいニュアンスは人によって異なるようです。このような中、“推し”という言葉は使う対象や場面が幅広く、何かに対する好意的な気持ちを包括する万能な言葉として使われていることが分かりました。また一時期はマイナスな印象を持たれることもあった“オタク”という言葉に対しても「何かに精通していることや熱中していることは素敵」というポジティブなイメージに変化していることも感じられました。参加者の中には「最近テスト勉強で忙しくてオタクしていない…」というように“オタクする”という使い方をしている人もいました。
多少曖昧な言葉であったとしても、ある程度限られたコミュニティの中で生活する若者だからこそ通じ合えているのかもしれません。
②推し活に関して、あなたが普段行っていることや購入したことがあるアイテムを教えてください。
③ご自身の推し活を振り返り、何か気付いたことはありますか?どのような傾向があるか、背景や価値観について自分なりの分析をしてみてください。
④あなたが興味深い・特徴的だと感じる “若者ならではの推し活に対する価値観や行動” を教えてください。