若者が求める学びとは?report11
目覚ましい技術革新や画期的なサービスの登場によって、ますます私たちの暮らしは
豊かになっています。一方で、現代は想定外の出来事が次々に起こる不確実性の高い時代とも
言われています。“VUCA時代”という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
このような中で文部科学省が定める教育カリキュラムの基準が約10年ぶりに改訂されました。
時代の変化や社会のニーズ等を踏まえて改訂された学習指導要領の下、
若者は新しい教育を受けています。変化の激しい時代を生きる現代の若者だからこそ、
求める学びとは何か。昨今Z世代として注目を集める若者が求める学びについてレポートします。
・仮説 ・STEP1 : いまの自分たちが抱える気持ちって、何だろう? #個性 #リアルな体験 #多様性 ・STEP2 : 将来、こんな大人になりたい! #フレキシブル #自己肯定感 #信頼と人望 ・STEP3 : いまと理想を比較して見えてきた、求めている学び #好きの探索 #世代としてのプレッシャー #応用力 ・Column:SNSは、あくまでも知るきっかけ?! ・まとめ
実は、これまでのレポートを振り返ると“VUCA”というキーワードは若者からも出てきています。
「不確実なVUCA時代を生きるためにはスキルアップしていくことは必要で、何が起こるか分からないからこそ自分のやりたいことや好きなことを大切にしたい。」
また自分らしさを重視する姿も、過去のディスカッションから何度も見受けられています。ただ、自分のやりたいことや好きなことを大切にしたいと思う一方で、自分らしさを明確に見出せている若者は少ないのではないでしょうか。このような背景から「現代の若者が求める学び」について、下記の仮説を立てました!
若者は、自分の好きを見つけるきっかけ=“自分らしさの発見につながる学び” を求めているのでは?
ワークショップには、高校生と大学生計12名に参加してもらいました。参加者には普段の生活を振り返りながら自身の意識や経験について紹介してもらい、その過程で気づいた若者の価値観についてディスカッションしました。今回の議論では、まず現在自分たちが置かれている環境や抱えている気持ちを整理し、理想の社会人像について話し合いました。そこから現在と理想の姿を比較することで、自分たちが求めている学びが何か議論し合いました。仮説の内容はもちろん学生には知らせていませんが、実際はどうだったのか。具体的なエピソードを紹介しながら検証します!
いまの自分たちが抱える気持ちって、何だろう?
#個性#リアルな体験#多様性
- 高校では自分と似た価値観の人が多くて居心地はいいけど、色々な人とも交流して良い刺激を受けたい。
- 経験や知識の獲得だけでなく、他人との交流で自分自身の考え方や行動をブラッシュアップしていきたい。
- 自分らしさを表現する機会が意外と多い。例えば制服の種類が増えたときも、どれを選ぶかでその人らしさに繋がっていた。
- 自分のことなのに、自分でも「らしさ」が分からない。
- 学内での座学も大事だけど、実践的な経験を通して対応力や場面に合わせた応用力を身に着けたい。
- その場に行かないと感じられないことがあるのに、自分たちはリアルな体験が不足していると思う。
- 投資など学びたい内容が増える中で全員が同じようにたくさん学ぶのは大変だし、なぜ学ぶのか納得感を持って授業を受けたい。だから高校でも、必修科目以外は自分で選択したい。
- 学校では勉強以外で自分の強みに気づく機会が少ないから、自己発見につながる場があったらいいな。
将来、こんな大人になりたい!
#フレキシブル#自己肯定感#信頼と人望
柔軟な対応ができる人
- 変化の中にも自分らしさを持ちつつ、楽しんで仕事をする大人になりたい。
- スキルだけではなく、柔軟な思考で対応する人になるために豊富な経験をしていきたい。
- 今は自分の意見が正しいか、根拠は何か気にしてしまう。多様性は受け入れつつ、周囲に流されない人になりたい。
- 幅広い選択肢の中から自分のやりたいことを見つけるために、多彩な知識を身に着けていきたい。
- SNSを見ていると、大勢の中に埋もれたくないと思う。埋もれている=必要とされていないと感じてしまう。
- 自分にしかできない仕事をするための能力を身につけたい。
- まだ明確にはなりたい像はないけど、何が自分に足りないかを理解しながら 様々な活動に参加している。
- なりたい姿はあるけど、やりたいことは分からない。理想はあっても抽象的すぎて、具体的にいま何をしたいかがない。
いまと理想を比較して見えてきた、求めている学び
#好きの探索#世代としてのプレッシャー#応用力
- 進路が決まる高校時代に、社会と接点を持ちたい。学校外での様々な経験は自分の“好きの探索”になると思う。
- 人からの情報だけでなく、自分の目で見たい。たくさんのフィールドワークで、“リアル”な経験がしたい。
- 多彩な考え方に触れることで、共感できる要素をピックアップしたい。自分らしさを見出していくヒントがほしい。
- カリキュラム改訂期だからこそ、私たちが学んでいないことをたった数年下の学年は学び始めている。その内容が、将来同じ世代として求められる素養になるかもしれないから、学んでいないことも習得しないといけないという焦りがある。
- 学生だけど、学び直したいと思うことがある。Z世代としてくくられることにプレッシャーを感じているのかもしれない。
- 臨機応変に対応する力を習得するために、学んだ知識を応用する場がほしい。得た情報や知識を自分の中で落とし込む力がないと、選挙の投票も難しいし、投資先を選ぶのも難しい。生きる上で必要な力として身に着ける必要があると思う。
- 自分の意見に根拠と自信を持つために、自分ごと化して理解したい。
知るきっかけ・・・?!
過去に取り上げたほとんどのテーマで話に上がるほど、SNSは大多数の若者にとってなくてはならない存在です。日々様々な情報が行き交うSNSは若者の日常に溶け込み、学びの場にもなっているように感じます。しかし今回の参加者は「SNSには情報が溢れているけど、確からしさは分からない。SNSは学びの場というよりも、知るきっかけにしたい」と話していました。私たちの想像以上に、慎重に情報を見極めているのかもしれません。
②①に関して、あなたご自身が実際に経験したり学べている場は現在ありますか?
【 YESと答えた方 】実際に経験したり学べている場について、具体的に教えてください。
【 NOと答えた方 】どのような場があれば参加してみたいですか?
③社会に出た時にこうありたいという目標や理想の姿、こんな社会人になりたい等という気持ちはありますか?
【 YESと答えた方 】目標や理想の姿について、具体的に教えてください。
【 NOと答えた方 】周囲の大人や世の中のニュース等から、あなたの理想の姿を見つけて教えてください。