INTERVIEW
インタビュー
お客さまとともに、継続的な価値創造を目指す ITソリューションを軸に事業変革を進める キヤノンマーケティングジャパングループ
企業理念に「共生」を掲げるキヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)グループ。持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して「2022-2025 中期経営計画」を策定した同社はいま、「IT(情報技術)ソリューション事業」を成長の中核に据えた事業変革を進めている。「社会・お客さまの課題をICTと人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループ」を“2025年ビジョン”に掲げたキヤノンMJグループが注力するITソリューション事業とは何か。お客さまにとっての価値はどこにあるのか。大手・準大手・中堅企業向けにビジネスを展開するエンタープライズビジネスユニット長の松本裕之氏に話を聞いた。
(聞き手・経済キャスター 瀧口友里奈氏)
2022年10月21日~2022年11月23日に日経電子版広告特集にて掲載
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社会課題やビジネス環境の変化にあわせた事業変革が急務に
瀧口
松本さんが率いるエンタープライズビジネスユニットではどのようなビジネスを担当しているのですか。
松本
キヤノンMJグループはお客さまの事業規模や業種ごとにビジネスユニットを編成しています。私が担当するエンタープライズビジネスユニットは、大手・準大手・中堅企業のお客さま向けにビジネスを展開しています。
エンタープライズビジネスユニットには従業員数3000人以上の企業を担当する「MA事業部」と、300人以上3000人未満の企業を担当する「GBソリューション事業部」があり、それぞれの事業部ではキヤノン製の複合機、プリンター、ネットワークカメラなどの製品を提案するビジネス、およびお客さまに最適なITソリューションをパッケージやSI(システムインテグレーション)、サービスで提案するビジネスを行っています。また2つの事業部とは別に、キヤノンMJグループのITソリューション事業をけん引するグループ企業「キヤノンITソリューションズ」があり、これらの3つの事業体が連携して大手・準大手・中堅企業のお客さま向けに、ハードウエアやソフトウエア、サービスなどさまざまな事業を展開しています。
瀧口
ビジネス環境が変化するなかで、いまお客さま企業ではどのようなことが課題になっているとお考えですか。
松本
当社はもともと複合機、プリンターなどのキヤノン製品を中心にビジネスを展開し、お客さまには主に電子化を推進して業務効率を高める提案活動を行ってきました。しかし2000年代以降はお客さまを取り巻く環境が大きく変化し、特に新型コロナウイルス禍ではテレワークが一気に普及するなど、働き方改革や業務変革が急速に進みました。オフィスだけでなく、自宅やサテライトオフィスなど、どこからでも仕事ができるようにしたい、それが時代のニーズだと思います。一方で少子高齢化・労働人口減少による人手不足、設備の老朽化といった社会に共通する課題解決も急務となっています。
独自のソリューションと「人の力」を強みとして、さまざまな課題解決を支援
瀧口
社会や企業のこうした課題に対応するうえで、どのような考え方が必要なのでしょうか。
松本
これまでのように、単体の製品やICTによる部分的な効率化だけでなく、お客さまの業務フローの中であらゆるデータをどう活用するかといった、データ活用が重要になってきます。ハードウエアに加えて、システムやソフトウエア、さらにはアウトソーシングも含めたITソリューションを組み合わせてお客さまをご支援する必要があります。
そこでキヤノンMJグループでは、MA事業部、GBソリューション事業部、キヤノンITソリューションズが一体となって大手・準大手・中堅企業のお客さまごとに、業種・業態にあったITソリューションを提案しています。
瀧口
多くの企業がDXに注力していくなかで、キヤノンMJグループとしての強みが生かされると感じていますが、どのような点にあるとお考えですか
松本
確かに、お客さまがDXを推進していくなかで、私たちがこれまでに培ってきた技術や強みが大いに役立ち、適用できる領域が広がっていると感じています。
例えば、現場からのデータ活用において、複合機やドキュメントスキャナーはドキュメントを取り込むデバイスとして、カメラやネットワークカメラはイメージを取り込むデバイスとして、その他、AI-OCRや画像認識技術などのアプリケーション群が、お客さまのさまざまなデータ活用に貢献し高い信頼を得ております。
また、キヤノンITソリューションズには、豊富なシステム構築実績、ITインフラを支えるデータセンターを有していることに加え、ローコード開発やAI(人工知能)を含めた数理・需要予測といった技術およびソリューションもあります。これらは、お客さまの基幹・業務システムからのデータ活用を促進させます。
そして、技術だけでは解決できない領域があったとしても、お客さま以上にお客さまの課題を分析した人材が現場に足を運び、お客さまと対話を重ね、最適な技術を提案し新しい価値をお客さまとともに創造しています。この「人の力」こそが私たちの最大の強みと考えております。
瀧口
品質の高さに定評のあるキヤノンというブランド力も、大きな強みになっていますね。
松本
おっしゃるとおりです。当社は長年にわたり、技術と人の両面で多くのお客さまとの信頼関係の構築に努め、この姿勢をお客さまにも高くご評価いただいてきました。これまでに培ってきた信頼関係は私たちの大きな財産であり、この関係をさらに強固なものにして、お客さまのDX推進に最後まで寄り添い、事業の成長に貢献するパートナーでありたいと考えています。
グループの総合力を生かした多様なITソリューションで、お客さまのニーズに応える
瀧口
強みである独自の技術や「人の力」を生かして、お客さまのどのような課題を解決できるのか、具体的なソリューションを紹介していただけますか。
松本
例えばイメージング領域では、自動車による巡回点検業務でカメラとAIを活用して作業負荷の軽減と生産性向上を実現するソリューションなど、映像技術と画像解析技術を組み合わせた提案を数多く行っています。また、モノづくりの現場向けには、人の目で確認していた品質チェック業務に画像解析技術を活用した事例、品質に問題が発生した際にどの工程に原因があるかを画像から検索できる仕組みを構築した事例などがあります。さらに、ドキュメント領域では、金融業界において投資信託販売時に交付義務がある目論見書を、複合機を活用してオンデマンドで出力する仕組みや、ドキュメントワークフローをクラウド上で行い業務自体を丸ごとペーパーレス化した事例などがあります。
キヤノンITソリューションズでは、AIや数理技術を活用した「需要予測・需給計画ソリューションFOREMAST」で欠品なき在庫削減の実現を支援しています。また、「ティア4」レベルの高性能ファシリティーを備えた都市近郊型の西東京データセンターを運営しています。さらに、企業の事業部門とIT部門、SIベンダーが連携し「共創型」アプリケーション開発を推進するローコード開発プラットフォーム「WebPerformer」を提供するなど、多様なITソリューションを提供しています。
瀧口
今後は、新たにどのようなビジネスの展開を計画しているのかお聞かせください。
松本
今後もお客さまのDXを支援するサービスビジネスの展開に力を入れていく計画です。特に私たちの強みであるドキュメントとイメージング技術を活用したサービスには、いっそう注力していきます。
その1つとして、デジタルドキュメントサービス「DigitalWork Accelerator」をこの8月に発表しました。第一弾としてバックオフィス業務のプロセス変革を支援し、電子データの一元管理とデータの利活用を促進する「電子取引管理サービス」を皮切りに、今後も順次業務別のアプリケーションや業種別のSIコア※を拡充してお客さまの業務プロセス変革と攻めのDX推進に貢献していきたいと考えています。
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※
SIコアとは、アプリケーションを開発するにあたって開発工数を削減するためにライブラリ化・コア化した開発手法のこと。
また、6月に発表したハイブリッド型クラウド映像プラットフォーム「VisualStage Pro powered by Arcules」の提案にも力を入れています。これは従来、サーバーや専用ハードディスクを必要としていた映像基盤をクラウド上に構築し、お客さまのシステムや外部システムを連携させたエコシステムの構築を視野に入れたサービスです。どこからでも映像情報が確認できることで、実際の現場で目視していた業務の支援につながるものになります。これらの新サービスをお客さまと共創を続けながらさらに発展させ、お客さまのSDGs(持続可能な開発目標)を支援する活動につなげていくことも目指しています。
お客さまとともに継続的に価値創造を実現していくパートナー
瀧口
キヤノンMJのエンタープライズビジネスユニットは、今後お客さまにとってどのような存在でありたいのかお聞かせください。
松本
お客さまが業務課題の改善や事業変革を実現したいと感じたときに、最初に相談する相手としてキヤノンMJグループを思い浮かべていただけるような存在でありたいと願っています。当社は、お客さまとの関係が一時的なものでなく、お客さまとともに継続的に価値創造を実現していくための「真のパートナー」であることを目指しています。
キヤノンMJグループでは「期待される、愛される、魅力のある会社」になろうというスローガンを掲げています。特にエンタープライズビジネスユニットは、お客さまの業界や業種特有の業務内容を深く理解する活動を続けています。先行きが不透明で将来の予測が困難な「VUCA時代」と言われる現在、私たちが自負する「人の力」を信頼していただき、お客さまとともに新しい未来をつくり社会をより良くする活動を進めていきたいと願っています。
瀧口
社会とお客さまの課題解決のために、ITソリューション事業に注力するキヤノンMJグループ、およびエンタープライズビジネスユニットの強い決意と熱意が伝わってきました。本日はありがとうございました。