コンプライアンス
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キヤノンマーケティングジャパングループ(以下、キヤノンMJグループ)は、コンプライアンスを法令遵守にとどまらず、「法令や社会のルールを守り、社会正義を堅持し、インテグリティ(誠実・正直・真摯)の精神に基づき、社会の期待に応え続けていくこと」ととらえ、一人ひとりが高い倫理観と遵法精神を備えた個人として行動するよう、「意識」「知識」「組織」の3つの視点でコンプライアンス活動を推進しています。
また、コンプライアンスはあらゆる事業活動や業務に優先し、キヤノンMJグループは、不正の利益・売り上げや「世間を裏切る会社のため」は絶対に求めていないという「コンプライアンス最優先」を基本として活動の推進に取り組んでいます。
コンプライアンス推進体制
キヤノンMJグループでは、取締役専務執行役員(グループ総務・人事担当)を委員長とした「リスク・クライシスマネジメント委員会」のもと、「キヤノングループ行動規範」に基づくコンプライアンス体制の整備を進め、企業倫理・コンプライアンスの啓発・周知活動を行っています。
キヤノンMJグループでは、従業員のコンプライアンス意識の欠如を企業にとってのリスクと考えるとともに、コンプライアンスとリスクを表裏一体と捉え、コンプライアンス推進施策とリスクマネジメント体制を活動の両輪に位置付けて推進しています。
意識啓発活動
コンプライアンス活動を進める上で最も基本となるものは、従業員一人ひとりが高いコンプライアンス意識を持ち続けることと考えています。そのために、さまざまな方法で意識啓発を行っています。
経営層からの啓発メッセージ発信
経営層は、従業員に対して機会があるごとに意識啓発を行っています。具体的には、年初の「コンプライアンス・メッセージ」などを通じ、コンプライアンス活動の重要性やリスク対策に関するメッセージを、経営層から従業員に向けて直接発信しています。
コンプライアンス意識共有のための「キヤノングループ行動規範」と「コンプライアンス・カード」
キヤノングループでは、全役員・従業員が業務遂行にあたり守るべき規準を示した「キヤノングループ行動規範」の周知徹底を図っています。「キヤノングループ行動規範」は、日本国内外のキヤノングループ統一の規範であり、この行動規範と解説は、キヤノンMJグループ全役員・従業員が誰でも必要なときに参照できるよう、冊子での配布に加えて、イントラネット上でも公開しています。また、創業期から受け継がれる「自発・自治・自覚」の「三自の精神」と、自らの行動をチェックするための「コンプライアンス・テスト」が書かれた「コンプライアンス・カード」を配布し、キヤノンMJグループ全役員・従業員が携行しています。この「コンプライアンス・カード」は、各職場における朝礼の場や課会、後述の「コンプライアンス・ミーティング」の場で読み合わせを行うこと等によっても浸透を図っています。
「キヤノングループ行動規範」の項目
経営姿勢 |
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役員・社員 行動規範 |
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対面・オンライン形式によるコンプライアンス意識啓発教育の実施
新入社員や新たに職場のマネジメントを担う新任ライン管理職には、それぞれの立場に応じたコンプライアンス意識をしっかり持ってもらう必要があります。このため、意識啓発に有効な対面・オンライン形式での教育を行っています。今後もこれらの教育を継続的に実施していきます。
新入社員研修 4月
内容:キヤノンMJグループにおけるコンプライアンスの意味と活動目的・内容、意識・行動のチェックポイント
新任ライン管理職研修 2月、8月
内容:職場におけるコンプライアンス問題の発生要因、職場責任者としてのコンプライアンス活動における立場・役割
≪2023年に実施したテーマ例≫
- リスクマネジメント体制
- 内部統制システム
- 職場のコンプライアンス推進者としての役割
- 部下の不正行為によるリスク
- ITソリューションビジネスのリスク
- 独占禁止法違反リスク
- 知的財産
知識教育活動
従業員一人ひとりが、業務遂行の場面で直面するさまざまなコンプライアンスリスクに対し、正しい判断と行動ができるよう、メールマガジンやウェブを用いた効果的な知識教育を行っています。
メールマガジンによる情報配信
コンプライアンスの実践に必要な知識・情報の周知を図るため、キヤノンMJグループの全従業員にメールマガジン「Monthly Compliance News」を定期的に配信しています。キヤノンMJグループの事業や業務に関する重要なリスクとその対策を中心に毎月配信するとともに、必要に応じ、臨時号として配信しています(2004年6月から配信を開始し、2023年末時点までに、通算で702号を配信しています。)。
配信テーマは、贈収賄やインサイダー取引などの包括的な腐敗行為、安全保障法規制、下請法、情報セキュリティ、知的財産など多岐にわたります。その中で、キヤノンMJグループでは不正や違法行為により得た利益など絶対に求めていないことを繰り返し徹底しています。
「Monthly Compliance News」は、各部門の朝礼やミーティングなどでも活用され、共有化が図られています。
これまでに配信した内容は、バックナンバーとして法令・ルールのカテゴリー別および行動・業務別にまとめてイントラネットに公開し、いつでも必要なときに参照できるようにしています。
2023年の主な配信内容
- 賄賂はダメ!~「公務員等への贈賄等防止ガイドライン」を制定しました~
- 競合他社との接触には注意!~「入札談合・カルテル防止ガイドライン」・「競争事業者との接触許可申請手続ガイドライン」を制定しました~
- その取引、本当に大丈夫ですか?~下請法違反に気を付けましょう!~
- 「少しなら大丈夫」・「自分は大丈夫」は危険です!~お酒にまつわるコンプライアンス2023~
- 配属された新入社員のみなさん!私生活と会社生活の違いを認識し、自覚を持った行動を!
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インサイダー取引は必ず発覚します!
- 誤解を与える表示には注意!~消費者が安心して商品・サービスを選択できる情報提供を心がけましょう~
- 私たちが標的にされています! ~2月は「サイバーセキュリティ月間」です~
正しい知識を効果的に身につけるウェブ教育
コンプライアンス活動の基本となる考え方や行動および法令・ルール違反などのリスクへの予防策を身につけてもらうため、年1回グループ全従業員を対象にウェブ教育を実施しています。このウェブ教育では、法令・ルール上問題となる行動事例とその解説の後に、理解度を測定するための確認テストを実施することで、効果的な知識の定着を図っています。
2023年は、「コンプライアンスの基礎」「独占禁止法違反リスク」「知的財産権侵害リスク」「腐敗行為リスク」「不当表示リスク」「下請法違反リスク」「労働関連法違反リスク」などを題材に、グループ全従業員がコンプライアンスに則った正しい行動について学びました。
組織活動
従業員一人ひとりの意識啓発・知識教育活動はもちろんのこと、個人・職場・全社が一体となって企業倫理の確立に取り組むべく、組織としての活動も強化しています。
職場単位でリスクや対策を議論・共有する「コンプライアンス・ミーティング」
職場内でのコンプライアンス意識向上とインテグリティ(誠実・正直・真摯)に則った具体的行動の促進、コミュニケーション強化、および事業・業務上のリスクと予防策の議論・共有・実践を目的として、グループの全従業員を対象にすべての職場(約2,000部門)で、毎年、「コンプライアンス・ミーティング」を実施しています。
この「コンプライアンス・ミーティング」では、職場のコンプライアンス推進役であるライン管理職の進行で、職場のコンプライアンスリスクとその予防策、コンプライアンスに関わる重要事項等(「キヤノングループ行動規範」の遵守状況の確認も含む)について、全員で議論・確認しています。この議論・確認を通じてお互いの思いや考えを共有していくことで、何でも気軽に相談できる職場環境をつくり、コンプライアンス違反を予防することにもつながっています。各職場での実施結果は、リスク・クライシスマネジメント委員会等に報告されています。
今後も、その時々の内部・外部環境を踏まえながら、この「コンプライアンス・ミーティング」を継続的に実施していきます。
内部通報制度の運営
グループ内の事業活動や業務遂行に関して、法令や企業倫理に反する事態(談合、カルテル、贈収賄やインサイダー取引などの包括的な腐敗行為、その他不正行為等)が生じた場合に、その違反事実を早期に発見し、是正・再発防止を図ることを目的として、内部通報制度「スピーク・アップ制度」を設置・運営しています。
「スピーク・アップ制度」は、グループ会社の役員ならびに従業員およびグループ会社の事業所内に勤務している契約社員・派遣社員・業務委託社員等が利用することができ、匿名での通報も受け付けています。
調査は、原則として通報者および関係者から情報を収集し、客観的に問題を把握します。その上で、関係部門と連携して解決を図り、必要に応じてフォローアップを行います。
さらに、「スピーク・アップ制度」では、通報者・通報内容の秘密を守ること、通報したことで人事上の不利益な取り扱いを受けないことを「スピーク・アップ制度規程」で明文化しているほか、通報者の利便性に鑑み、社内だけでなく法律事務所にも受付窓口を設置するとともに、匿名通報も受け付けています(受付窓口については、イントラネットを含む複数の媒体によって周知しています。)。特に、日本国内では、2022年6月施行の改正公益通報者保護法を踏まえ、「スピーク・アップ制度」を再整備し、「スピーク・アップ制度」の利用者に役員、退職後1年以内の従業員を追加するとともに、従業員を通報対応業務従事者として定めるなど、同法に準拠した仕組みを構築し、運用を開始しています。また、キヤノンMJグループでは、グループ全役員・従業員に案内される前述のウェブ教育においても、「スピーク・アップ制度」の周知に努めています。
「スピーク・アップ制度」の運用の状況は、定期的に「リスク・クライシスマネジメント委員会」に報告されており、2023年においては、経営に重大な影響を及ぼすような事案や社外に公表すべき重大な事案はありませんでした。