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長野県中野市立倭小学校校舎の思い出プロジェクト 実施事例

2019年11月に、長野県中野市立倭小学校にて、「校舎の思い出プロジェクト」を実施しました。

長野県中野市立倭小学校の先生方にお話を伺いました

小学校の歴史についてお聞かせください。

倭小学校は、明治34年の倭尋常小学校から数えて119年歩んできました。中野市との合併などを経て、名称等もいくつかの変遷をみましたが、この間、地域の教育の中心として、また、心のよりどころとして、学校地域一体となって進める倭小学校の伝統や校風が育ち、受け継がれてきました。「地域全体で全員の子どもの面倒をみる」、その姿勢が倭の誇りです。地域の皆様が残された輝かしい足跡や、学校に対して注いでいただいた熱意と愛情と共に、倭小で学ぶ「やまとっこ」の中にも、「縦割り班の意識」等、脈々と受け継がれています。(青木 修)

  • 縦割り班=異年齢交流活動(1年生から6年生まで異なる年齢の生徒が一緒に行う活動)

「校舎の思い出プロジェクト」を行うことになったきっかけについてお聞かせください。

倭小学校に関わってきたすべての人たちに参加していただき、思い出を共有しながら、「倭小学校、ありがとう」の気持ちをあらわす記念事業をしたいと願っていました。同郷の先生からこのような企画があるとご連絡いただき、子どもたちが中心の思い出づくりの活動でもあり、学校、地域、保護者が一つになって、学校への感謝と思い出づくりになると考えました。(青木 修)

「校舎の思い出プロジェクト」のサポートプログラムはいかがでしたでしょうか。

画材の選定や数量に関しての提案、クレヨンで描いた部分の定着の仕方や絵の具の薄め方など、多くのアドバイスをいただき大変助かりました。またカメラ教室や一眼レフカメラの貸し出しなど丁寧に対応いただきありがたかったです。たった一度きりの「校舎に絵を描く」という一大イベントで不安がたくさんありましたが、親身にサポートいただき何も困ることなく活動することができました。(岩崎 みなみ)

特に印象に残っているエピソードなどあれば教えてください。

木の幹や枝は子ども達が、葉は「校舎思い出参観」におうちの方と一緒に描きました。手形で色をつけるために、ローラーで手に色をつけてもらったり、高い所はおうちの方に肩車をしてもらって色を付けたりしました。また、子ども達が失敗して色をつけてしまった部分を、絶妙なフォローで修正し仕上げていただいた場面もあり、保護者の皆様と一緒に特別な思い出に残る活動になりました。完成した作品には、倭の思い出がたくさんつまっています。四季のサクラの木だけでなく、虫や鳥、羊、友達がたくさん描かれています。春は桜の下で全校お花見給食、若葉が輝く校庭での運動会、進む紅葉を感じながらの全校マラソンや豚汁作り、そして深い雪に覆われた校庭での雪遊びやクロススキー、移り行く季節を子どもたちは肌で、心で感じながら倭の地で過ごしてきたことを改めて感じました。(岩崎 みなみ)

6年生の男子が、春の満開の桜の木の下に、仲良く並ぶ二人の子どもの姿を描きました。いわく『おれの最高傑作!』このような機会でなければ、このように心を開放して描くことは、なかったのではないかと感じました。(齋藤 義和)

学校の壁という本来描いてはいけない場所に、初めて子供たちが描いていくときはどのような反応でしたか。

恐る恐る描き始める子、はじめから大胆にどんどん描いていく子、反応は様々でしたが、みんな夢中になって描いていました。思い出の校舎の壁を大きなキャンバスにして、友達と一緒にそしておうちの方と一緒に倭のサクラを描けたことは一生の思い出になると思います。(岩崎 みなみ)

最初は「いいのかな」という表情で描いているのが印象的でしたが、みんなと一緒に描く楽しさにお互いがのせられて、笑顔いっぱいになりながら思い思いに色をつけていました。倭小学校の四季の桜を描くという大きなテーマの中で、一人ひとりが自由に描きつつも、全体の景色の中にきちんと収まっていく様子を見て、子どもたちの感性の豊かさを感じました。(齋藤 義和)

子供たちが撮影した写真(or 撮影しているところ)をご覧になって、いかがでしたか。

カメラ教室で教えていただいたことを活かして、気分は名カメラマンでアングルを工夫しながら撮っていました。描いた場所が階段の壁だったので高低差を活かしながら、階段の上から撮ったり廊下に寝て階段の下から撮ったりする姿がありました。子ども達が撮った写真を見ると、とびきりの笑顔や真剣に描く友達の表情が映されていて、大人が撮るのとは一味違う子どもの感性が光っていました。(岩崎 みなみ)

児童や保護者の皆さん、地域住民の方の反応はいかがでしたか。

校舎に絵を描く経験は初めてで、今まで過ごしてきた学校に感謝の気持ちを込め、みんなで一緒に活動できたことは、思い出深い記念事業になりました。手形ペイントでは、お家の人も参加して、家族で楽しそうに手形やスタンプを押していたことが印象に残っています。また、みんなで一緒に描くということから、一体感も生まれて充実した活動になりました。保護者のなかには卒業された方もいらっしゃり、参加し、あらためて学校に関われたことで、「あのころ」の思い出と「今このとき」が一緒になって、深い思いで「楽しく」かかわれていました。(青木 修)

保護者の皆さんも「いよいよ閉校か」との思いを一段と深くするとともに、鮮やかに描かれた壁を目に焼き付けている姿が印象的でした。(齋藤 義和)

今後、「校舎の思い出プロジェクト」を多くの小学校にて展開をしていきたいと考えております。このプロジェクトに今後期待することや、メッセージがございましたらお聞かせください。

「思い出を描く、思い出を残す」、すばらしいプロジェクトだと思います。多くの方に関わっていただき、今まで過ごしてきた学校に感謝の気持ちを込め、みんなで一緒に活動できることは、本当に思い出深い記念事業になります。卒業された保護者の皆様も、参加し、あらためて学校に関われたことで、「あのころ」の思い出と「今このとき」が一緒になってより記憶に残る事業になったことと思います。それを支援いただく素晴らしいプロジェクトです。さらに多くの思い出づくりに広がっていければいいと思います。(青木 修)

異業種のコラボレーションによる可能性のふくらみが、閉校というタイミングでの学校のニーズにマッチした、すてきなプロジェクトだと思いました。『何か思い出を残したい』の『何か』に、手を差し伸べてくださり、子どもたち・保護者・地域の方・学校職員それぞれに、忘れえぬ思い出ができました。今後取り壊し等で、校舎の形としては残らないものであるかもしれないけれど、かけがえのない思い出として関わった人たちの心に残すことができるこのプロジェクトのこれからの発展に期待しています。(齋藤 義和)

その他、何かありましたら、ご自由にご記入ください。

「支援する」というお心遣い・姿勢で丁寧にかかわっていただいたスタッフの皆さんのおかげで、大変円滑に、自信をもって楽しみながら進めることができました。わたしたちもいろいろな面で、学ぶことの多い活動だったと思います。(青木 修)

プロジェクト作品

大判プリント作品