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「くらし・しごと・社会」を支える episode11 「くらし・しごと・社会」を支える episode11

社会を支える

「持続可能な社会」を目指す、
キヤノンの資源循環型社会実現への取り組み

画像はイメージです

「共生」の理念の下、
社会課題解決へ向け積極的に取り組む

近年、耳にする機会が増えた「SDGs(Sustainable Development Goals)」という言葉。
このSDGsが掲げる「持続可能な社会の実現」という国際目標に対し、世界中のあらゆる企業が社会課題の解決に向け積極的に取り組んでいます。

グローバル企業として長年ビジネスを行ってきたキヤノンも、世界中が抱える社会問題、特に環境にまつわる課題にいち早く向き合いながら事業を展開してきました。
世界で環境問題がクローズアップされるようになったのは、1992年のリオ・デ・ジャネイロの地球サミットで採択された「環境と開発に関するリオ宣言」ですが、すでにキヤノンでは、1990年に世界に先駆けて日米独でトナーカートリッジの回収をスタートさせており、30年もの間、回収・リサイクル活動を続けてきました。

もともとキヤノンには、「共生」という企業理念があります。
全ての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会を目指し積極的に取り組んでいくというものであり、そうしたSDGsと同じ方向性の考え方が1990年以前からあったため、早い段階から環境への配慮にも積極的に取り組む企業文化が根付いていたのです。

キヤノンは、環境問題を気候変動、資源循環、有害物質の廃除と生物多様性に集約されると考えています。
キヤノンはそれぞれの課題に目を向け取り組みを進めており、メーカーという立場からどうすれば限りある資源を有効活用し、使用する資源を最小限にしてモノをつくることができるかを考え続けることが重要と考えています。
研究開発や生産プロセスの段階で何ができるか、お客さまの手元にどう届け、使用時はどうかなど、製品ライフサイクル全体を俯瞰して環境対応に取り組んでいます。各事業フェーズを連携させ効率化を図りCO2を削減することで、低炭素社会の実現に貢献することが必要になるのです。

また、課題の一つである資源循環型社会の実現という観点において重要になってくるのが、製品の回収・リサイクルです。使い終わった製品やその素材を再利用することまで考え実践することは、製品のライフサイクルには欠かせない要素になってきます。

限りある資源を繰り返し使い続ける高度な循環型社会の実現に向け、「製品to製品」の資源循環を追求。使用済みのトナーカートリッジやインクカートリッジ、 オフィスで使用した複合機本体を回収し再使用(リユース)したり、分解して新たな製品の材料として再資源化(リサイクル)したりといった取り組みを継続している。

長年にわたり理想のリサイクルの形を追求

リサイクルといっても、その中身には違いがあります。
世の中で行われているリサイクルの多くは、一度使った製品の材料を再利用し、異なる製品や材料として利用する、カスケードリサイクルという方法です。
そしてもう一つが、リサイクルした材料を使って、未使用の製品と同じ品質基準をクリアした上で、同じ製品や部品に利用する、クローズドループリサイクルと呼ばれる方法です。

キヤノンはこの理想的なリサイクルを実現することができれば、新規資源消費の抑制やCO2排出量削減につながると考え、長年にわたって挑戦を続けています。
トナーカートリッジのリサイクルプログラム自体は1990年に開始し、今年、この活動は30周年を迎えました。現在は世界で4つのリサイクル拠点が稼働。業界に先駆け、クローズドループリサイクルを実現し、日本でも、使用済みトナーカートリッジのクローズドループリサイクルを行う自動リサイクルシステムを2015年にリニューアルし、稼働しています。

この自動システムが稼働している茨城県坂東市の「キヤノンエコテクノパーク(以下、エコテクノパーク)」では、回収した使用済みトナーカートリッジを破砕し、材料ごとに分別し、純度の高いプラスチック素材として再生するためのシステム「CARS-T(カーズ・ティー):Canon Automated Recycling System for Toner Cartridge」を運用しています。
このシステムは、本体の分解から再生材を完成させるまでのプロセスを高度に自動化しているため、新品と同じ品質を担保しながら、リサイクルの効率化を図っています。
また、再生プラスチックの選別純度を99%以上に高め、再びトナーカートリッジに使用しています。これは、トナーカートリッジの開発段階から、リサイクルしやすい素材を選定。構造もリサイクルを前提にしたり、お客さま先から回収する仕組みづくりを行ったりするなど、グループが連携して取り組んでいるからこそ実現することができます。

  • 99%以上:当社が定める選別方法による

「エコテクノパーク」では、トナーカートリッジの他にも、インクカートリッジのリサイクルを行う「CARS-I(カーズ・アイ):Canon Automated Recycling System for Ink Cartridge」を運用しています。回収したインクカートリッジを、カメラを利用して機種ごとに選別し、解体、粉砕、洗浄までの工程を自動的に行うシステムです。

また、回収した使用済みのキヤノン製の複合機を、再生品として販売する複合機のリマニュファクチュアリングといったリユースも行っています。部品レベルまで丁寧に分解し、清掃。再使用できる部品を選別して未使用の部品と組み合わせ、品質を新品同様にまで高めて出荷しています。

自動リサイクルシステム「CARS-T」

トナーカートリッジのクローズドループリサイクルを実現する「CARS-T」。
破砕の後、トナー、金属、軽量物、ゴムの除去、プラスチックなどの素材ごとの選別という工程を経て、
再生材となるHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)を取り出す。
HIPSをペレット状に加工し、生産拠点に送られて再びトナーカートリッジになる。

循環型社会の実現に向け、社会全体で取り組む

資源循環型社会の実現のような大きな社会課題は、一人の力、一つの企業の力で解決できるものではありません。
例えば、複数のプリンターメーカーが共同で活動する「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」。郵便局や一部の自治体施設などに設置させてもらった回収箱から、家庭で使い終わったインクカートリッジを回収し、メーカーごとの製品に分別したのち各メーカーがリサイクルして再資源化する取り組みです。
また、複合機の回収も各社と協力体制を築いています。下取りなどで他社製品を引き取った場合には、業界団体を通じて各メーカーに戻し、リサイクルやリマニュファクチュアリングに生かしています。
さらに、トナーカートリッジの回収はお客さまの協力も不可欠のため、物流のパートナー企業と協力し、トナーカートリッジをお届けする際に使用済みカートリッジを回収する「納品時同時回収」という仕組みをつくっています。これにより、使用済み製品の回収にご協力いただけるお客さまの負担を軽減するとともに、物流による環境負荷も減らすことができるのです。

今後、より重要性が高まることが予想される資源循環型社会の実現に向けた企業の取り組み。これからもキヤノンは「共生」の理念のもと、こうした取り組みを絶やすことなく続けることで、持続可能な社会の実現に貢献してきます。

キヤノン独自のカートリッジ回収の取り組み

1990年からスタートしたトナーカートリッジの回収は、
今では国内でWebでの回収受付や専用集合回収箱の利用、納品時同時回収、教育機関でのベルマーク回収など、
使用済み製品の回収にご協力いただけるお客さまのためさまざまな回収ルートを構築し、取り組みを進めている。
  • 2020年7月掲載

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