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拡大する模倣品被害の対策に
独自のクラウドサービスが貢献
近年、サプライチェーンのグローバル化やEC(電子商取引)の普及による物流網の複雑化などを背景に、「模倣品」によるさまざまな被害が拡大しており、地政学リスクや環境に関するリスクなどと並び、世界規模の課題となっているといわれています。
その背景には、新興国における技術力の進歩があります。特に世界の工場となった中国の製造に関する技術力の向上により、模倣品のレベルも上がり、正規品との判別がますます難しくなってきています。
実際、政府模倣品・海賊版対策総合窓口への問い合わせのうち、模倣品の製造国・地域が判明しているものの7割以上が、中国(香港を含む)に関するもので、被害を受ける消費者が、先進国だけでなく、経済的に豊かになってきた新興国にも拡大しています。※
もう一つの背景にあるのが、ECによる流通の複雑化です。BtoB向け、BtoC向けのEC市場の拡大に加え、オークションサイトやフリマアプリの普及で、CtoC市場も拡大しています。
以前よりも個人輸入が増加したことで、税関の業務量も増え、抜き取り検査もあまり効果がなくなってくるなど、税関での模倣品流入を水際でせき止めることも難しくなってきているのです。
模倣品による主な被害には、正規品の販売数量が落ちたり値下げ圧力がかかったりすることによる売り上げの減少、模倣品への対応コスト、企業の権利侵害やブランドイメージの悪化、さらには低品質な模倣品の誤認購入による消費者被害など、多く挙げられます。
さらに、模倣品被害は、雑貨やアパレル、電子・電気部品、化粧品など、幅広い業界で発生しており、これからも、消費者の購買行動の多様化やサプライチェーン・物流網の複雑化は進むと考えられるため、法整備を進めても模倣品を根絶することは困難と予想されています。
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経済産業省/模倣品・海賊版対策の相談業務に関する年次報告 2018年6月
正規品判定クラウドサービスが、お客さまの“安心・安全”を実現
模倣品被害が深刻化する中、人手による対策だけでは限界があり、今後はさらにITソリューションが果たす役割は重要になってくると考えられています。
そこで、キヤノンITソリューションズ(以下、キヤノンITS)では、過去にキヤノン中国が自社ブランドの偽造ラベルなどへの対策で蓄積した知見を基に、企業のブランドとお客さまを守るための模倣品対策におけるITソリューションを提供してきました。
そして昨今、正規品を判定するシステムへのニーズがさらに高まる中、スマートフォンを利用して誰でも簡単、スピーディーに、そして正確に正規品判定を行うことができるクラウドサービス「C2V Connected」を提供し、模倣品リスクの削減に貢献しています。
正規品判定クラウドサービス「C2V Connected」
本サービスでは、製品に正規品判定用IDタグの「ConnectedTag」を貼り、その情報をクラウド上のシステムに登録しておくことで、消費者が「ConnectedTag」をスマートフォンのアプリで読み取るだけで、クラウド上の情報と照合して正規品かどうかを判定することができます。
ホログラムなどを利用した従来の模倣品対策は、それ自体が模倣されたり、消費者が正規品かどうかの判断が難しかったりという課題がありました。それに対して「C2V Connected」では、製品一つひとつに異なるIDを発行して登録・照合する仕組みになっており、設定された判定上限回数を超えるとアラートを出せる技術(特許取得済み)を搭載。低コストでより確かな模倣品対策が可能です。さらに、判定結果情報を活用することで、模倣品が流通しているエリアの把握や流通経路の特定を行い、効果的な対策につなげることも期待できます。
また、判定画面に、製造・出荷日時や製造工場、消費期限や成分・原料などの情報を表示できるため、透明性を高めブランドへの信頼性向上にも貢献します。
現在、「C2VConnected」は日本の化粧品、食品、ベビー用品、部品メーカーさまを中心に導入されており、模倣品対策に有効な手段であるとの評価を受けています。
これからも、キヤノンMJグループは模倣品リスク削減に積極的に取り組むことで、社会課題の解決に寄与していきます。
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2020年10月掲載
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