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「くらし・しごと・社会」を支える episode18 「くらし・しごと・社会」を支える episode18

ビジネスを支える

MRシステム「MREAL」を中核とした「xRソリューション」で
ものづくりの現場を支える新たなインフラを提供

「xR」活用によるDXが進む日本のものづくり

デジタルの力を最大限に活用し、ビジネスの在り方を変革していくDX(デジタルトランスフォーメーション)が大きなうねりとなっています。そんな中、ものづくりの現場に大きな変革をもたらすと注目を集めているのが「xR」と呼ばれる、現実世界と仮想世界を融合させて新しい体験を提供する技術です。

xRは複数の技術を包括した総称で、社会的な認知度が高いのは、家庭用ゲーム機などで使われている「VR(Virtual Reality:仮想現実)」や、スマートフォン向けに多様なアプリケーションが登場している「AR(Augmented Reality:拡張現実)」です。そして、xRを構成するもう一つの技術が「複合現実」と呼ばれる「MR(Mixed Reality)」です。

VRは、見えているもの全てがCGで構成された仮想空間を表示する技術です。高い没入感が特徴ですが現実空間とは隔離されます。ARは現実空間にデジタルの要素を追加して表示することで、現実空間を拡張する技術のこと。これらに対してMRは、現実空間と仮想空間を融合させる技術だといえます。

MRはBtoB向け、中でも生産技術の分野での活用が進んでいます。例えば、一度つくると簡単につくり直すことができない工場の生産設備の設計では、事前検証が欠かせません。従来は図面や3Dモデルを使った検討に経験などを加味して行っていましたが、どうしても精度に限界がありました。

MRはこうした検証の精度向上に利用され、効果を発揮します。実際に作業するオペレーターがMRを活用してテストすることで事前に修正点を見つけ、開発のコストや時間の大幅な削減に寄与します。

「MREAL」の特長
「MREAL」のシステム構成

新たなものづくりのインフラとなる「MREAL」を提供

キヤノンは1997年からMR技術の開発に取り組み、2012年からはMRシステムの「MREAL(エムリアル)」を提供しています。光学、画像処理、ハードウエア設計、ソフトウエア開発といったキヤノンが持つ高度な技術を生かした製品は、課題解決の手段の一つとして導入した企業から高い評価を得ています。

「MREAL」は、ヘッドマウントディスプレイのカメラで撮影した現実の映像と3D CGのデータを合成するビデオシースルー方式を利用しています。3D CGが透けずに本当にそこに存在するかのように見られるだけでなく、ユーザーの手の位置を認識することで3D CGとのサイズや距離の関係も正確に表示できます。こうした特徴を生かし、自動車などの工業製品のユーザーインターフェースの検証に「MREAL」を利用している企業もあります。

2021年2月には、導入企業からの要望に応え、機材のサイズ、準備にかかる手間、そして価格面で、より手軽に扱えるようになった「MREAL S1」をラインアップに加えました。

「MREAL S1」のヘッドマウントディスプレイ本体は手のひらに収まるサイズで質量は約137グラム。ダイヤルでディスプレイの装着位置を簡単に調整できるヘッドマウントユニットによって装着時の手間も軽減しています。ビジネス書程度の大きさのインターフェースボックスを介してノートパソコンと接続するだけで利用できるため、システム全体も大幅にコンパクトになっています。

「空間特徴位置合わせ」と呼ばれる技術の採用で、光学センサーや専用マーカーの設置が不要となり、準備の手間も大幅に軽減しています。最新の制御ソフトウエア「MREAL Platform 2021」がヘッドマウントディスプレイに内蔵されたカメラの映像から空間の特徴を読み取り、ユーザーが現実空間のどこにいて、ヘッドマウントディスプレイがどちらを向いているかをリアルタイムで把握。3Dデータのサイズや位置を現実空間と正確に融合させて表示します。

システム全体がコンパクトになったこと、利用する場所の制限や準備に必要な手間が減ったことで、実際に生産設備を設置する現場での検証が容易になった他、より多様な業界で活用の可能性が高まっています。例えば、以前から作業現場や屋外でxRを活用したいというニーズが高かった建設や建築業界では、「MREAL S1」の特徴であるポータビリティが生きるでしょう。

また、新たな使い方にも注目が集まっています。例えば、現物がその場にあるかのように感じる「MREAL」は、体験者の理解を深め、意思決定を早めます。ポータビリティが上がり、手軽に多くの方が体験できるようになった「MREAL S1」を活用すれば、お客さまへの提案方法やプレゼンテーションのスタイルも変わってくるからです。また、MREALは遠隔共有機能を搭載しているので、ネットワークに接続すれば、一つの3Dデータを複数拠点で共有することもできます。離れたデザイナー同士が同じ3Dデータを見ながらデザインを検討することも可能となってきています。

DXの進展に伴い、ものづくりのインフラの一つとして「MREAL」が活用できる領域はさらに広がっていきます。キヤノンでは「MREAL」を「xRソリューション」の中核とし、VRやARも組み合わせ、お客さまに最適な解決策を提供していきます。

利用シーン①デザイン検討
利用シーン②作業性検討
  • 2021年9月掲載

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